第5章 "好き"が止まらない!
31.
明日の準備をして(って準備らしい準備って無いんだけれどあえていえば早めに寝る、コンディション的な準備)私はベッドに潜り込んだ。
自宅で父を…"怒髪天"を使ってテコの原理で玄関内へと運搬した私。玄関の外に出ると4人は居なくなってた。悟だ、あいつが早く帰ろう!と引き連れてさっさと帰ったんだ。嵐のようなやつだなぁ、と自宅からこの部屋に持っていくものを鞄に詰め込んで気絶したままの父親に向けて書き置きをし、私は家から呪術高専へと戻った。
ゲラゲラ笑って人んちの拳の語り合いを見物していったあれ以降悟がちょっかいを出してこないな、と思いながら静かな部屋で過ごす。振る前までは夕飯時とか、その後にDVD見よう、ゲームしよう、勉強しようと誘ったり、温めておきました親方様ーっつってベッドに潜り込んでたりするのに。秀吉は履物だろ、現代ならその役割は猫がやる仕事だってのに。
……いや、振ってからはベッドには潜り込んでないんだけれど。そこは線を引いてるんだろう。恋人(仮)からやっぱり友人、みたいなものになったものかなぁ。
一度寝返りをして考える。
悟とは一緒に居て楽しいし、その楽しいが度を過ぎててイラつく事も疲れる事もあるけれど、私の心の奥にはまだ悟への恋心が残っていた。その感情に気が付いてしまったらそれ以降とても意識してる。
『………はぁ、』
瞳を閉じる。
友人みたいな関係で、もしかしたら明日学長から拒否されなければ学校生活では先生という立場になる悟。
悟が……悟の本気で好きな子とか、許婚とかの子と一緒に歩いていたりしたら私は一気に心がしぼんでしまいそう。
感情を制御して呪力を安定させる。そんな事分かってる。でも、この燃えるような、いや、もう燃焼すべき時が終わってるそのくすぶったモノが…燃え残りの炎が時折上がってきてちらついて消えない。
苦しい。
苦しい。
苦しい…
……嗚呼、泣きそう。ちょっと涙出てきた。
楽になりたい。どうしようか、どうすれば良いんだろう、何かで埋めなきゃ最悪な結果を見る事になる。悟が他の人と幸せそうな姿を今の私が見てしまったら自分を抑えられなくなる。