第29章 赤い糸で繋がっているもの
静まったこの教室の中、主に真希と私で話をしてて、野薔薇にしか言ってないのに何故かそこで手を挙げた伏黒。
彼は携帯を取り出すと教卓の上に彼自身の携帯を置く。座ってた虎杖も私も皆がどんなものかとその画面を覗き込む。隣同士、髪が当たったり、それぞれ違うシャンプーなり整髪剤の香りが担任の居ない教卓に集まってる……。
伏黒の携帯画面、そこに映し出されるものはLINEのトーク画面。メッセージでいくつかやりとりのある中に一枚画像が貼り付けられている。
"これから海外出張なんだけど恵にお願いがある"
"実は僕、パパになりました(*´ω`*)まだ4週間の僕とハルカのBABYです!"
"BABYっつっても人の形さえしてないけどー!"
"草"
"じゃあ夜露死苦ねん"
ちょっとイラつくそんなやりとり(悟の一方的な連投)の後に貼られた、写真を持ちながらウインクした自撮りを貼り付けてる悟。
その後に一文、"あ、ハルカが無茶しないようにしといてねっ!絶対に!"と付け加えてる。
最後にようやく伏黒からの分かりました、と一言。
……って。
『伏黒知ってたんかいっ!』
「先に言えよ、私だってさっき知ったのに!」
私と野薔薇で伏黒にツッコむと伏黒は迷惑そうに耳を塞いでた。その伏黒に絡み、揺するのは虎杖。
「ナンデ?俺だけなんも聞かされてねえんだけどっ!?ねえ、なんでハブんの?俺、伏黒になんかした?」
「チィッ、なんで俺に絡むんだよ!離れろ!」
このタイミングで伏黒の、悟からの写真つきメッセージで体術の授業に出れない理由をクラスメイトと先輩達に伝える事が出来た。
私自身もハラハラしながらも理由を知ってもらえてホッとして、そして理由を知り納得した二年の先輩達は「そういう事かよ、おめでとさん」と教室から去っていく。
机を四つ、くっつけて何事もなかったように、とはいかないけれど再びのランチタイムになったので中断されていたランチタイムが再開した。
本日の私のお弁当はお米ゾーンはオムライスにして、おかずは洋食寄りです。後がけのケチャップを掛けるのだよ…、とやっと袋からケチャップを取り出して。
「しっかしびっくりだわ。あの人に子育て出来るの?」
「想像つかねえ、自分が世話される方だろうな」
『分かる、でっかい幼児というか』
「お前ら五条先生をなんつー目で見てんの……?」