第29章 赤い糸で繋がっているもの
「……っ、めでたいのではあるが……あいつ、悟に子育てなんて出来るのか?…心配だ……」
『ははは……っ、大きい子供とそこに小さい子供が増える、子供がふたり…みたいなモンじゃないですかね?』
この場に彼が居たら「毛は生えてるもんっ!」とでも言って反論してそうな。いや、そういう事じゃねえんだよ?と私からも突っ込んでやりたい雰囲気になっている。
学長はなんとも言えなさそうな、不安そうな顔をしてた。言いたいことはなんとなく分かるけれど。
「──とにかく。話は逸れたが呪骸についてはあと二日以内には完成する。急ぎだからな、戦闘能力のない最低限の機能付きだ」
『ありがとうございます!』
買い物とかも誘ったりせず呪骸連れていけば楽に行けるなら良かったんだけれどな、とほんの少し残念な私に「ハルカ」と学長が一言。
険しい顔で充分に迫力を持った声色だった。
「生まれが春日である上、妊婦となればより狙われて危ないものだ。悟と行動を共にしてるのならアイツが特級であるから安心であったが、呪骸と呪術師のセット以上に護衛は居たほうが良いぞ」
「まだ性別とか腹に宿してると見た目でバレなくてもですか?」
硝子の問いに頷く学長は「ヒサカイの件もあったしな、念には念を入れとけ」と言葉を付け加えていた。