第29章 赤い糸で繋がっているもの
マンションならいい浴室だから分かるけれど寮の個室の浴室なんて少し古い構造で湯船の外に居たらすぐに体温が冷えていく。
ぴた、と動きを止めた彼は渋々、いや表情がシワシワピカチュウになりながら「分かったあ…ベッドでするぅ~…」と分かってくれた。
テンションも落ち着いたかな…と安心もしてられない。着替えのパンツなどを持ち、片手でボクサーパンツを持ってぶん回してる悟。
この人、私よりも年上かつ教師なんですよね?ほんとに?
「湘南乃風~♪」
『……やめろ~?おちつけ~??』
一度下がりつつあったテンションはますます上がってる。
いつものように一緒にお風呂に入りつつ歯磨きなどの寝支度を共に済ませ、湯上がりに明日はパンケーキじゃなくてご飯でも良いかな、と私はキッチンに立ってお米を用意しとく。
その私の背後、机に両手をついてトトロでお弁当にハイテンションになるメイのようにぴょんぴょん跳ねてる悟。
「はーやーくー!」
『(待てが出来ないのかなー、この人は…)』
炊飯器に釜をセットして蓋を閉じながら彼を向けば、頬をぷっくりと子供みたいに膨らましちゃってさ!
……可愛いけど、急かす理由は可愛くないんだよねえ。
机をガタつかせながら素足でぴょんぴょん跳ねてる悟。腰ってか、お股の辺りがピンと鋭く持ち上がってる……。
「もー、ちんこ痛いんだけど?えっちまだー?」
『はあー……本当に激しくしない、なんて出来んのかなあ…』
学校のある日のように炊飯器のタイマーのボタンを押せばピピーッ!とタイマーが入る音。
それらが終わったらいよいよベッドに向かう時。にこ!と笑った悟は小走りにキッチンから去って上着を抱えて、キュキュッ、と足を鳴らして側で足を止めた。
「はい!寒いだろうからとりあえず被ってよ、冷えは良くないでしょ?」
寝間着を着た上に悟に被せられた外行き用のダウンジャケット。すっごくぽかぽかする。『ありがと』と言えば明日の朝の準備を終えた私に彼がぴったりと擦り寄り、腰を引き寄せて額にちゅ、と音を立ててキスをした。
「……じゃあ、ベッドに行こうか。赤ちゃんにパパとママがどんなに仲良しなのか見せつけてあげちゃおうね?」
『マジレスしときますけど。見せつけるも何もまだ色々と体は出来上がってないでしょうに』
「そりゃそうじゃ!」
『オーキドかよ』