第29章 赤い糸で繋がっているもの
彼の言葉に私は大きく頷いた、誰の子かも分からない状態だった時に信じられない、夢なら醒めて欲しいくらいに思ってた時があった。でもそれが確実に悟との子供であると妊娠周期を聞いて大好きな人と繋ぐ命であると聞いた時はそれは嬉しくって。
……任務中の姿が浮気に見えた時はちょっと絶望しましたが。
そのお腹を撫でる悟の手に私は片手を重ねる。暖かな手は私よりもゴツゴツとして今日の私の身勝手な行動中、影から守ってくれていた頼れる手。
今は優しくお腹を守ってるようにも思える。
『今はぜんぜんだけど。ゆっくり大きくなっていくよ』
「うーん……、人体って凄いねえ。こうして人が人を作って命を繋いでいくって事なんだから……あっ、」
私の手が重なった事でとんとんと小さく叩く動きが止まって、見上げた私の視線とばちん、と合った。思わず少しだけ上半身を距離を取ろうとした私にその逃げようとした肩から悟側へと寄せられて逃げられない。
へへ、と苦笑いをしつつ。『あっ、て何?』とこの聞かざる状況に突っ込む。彼は真剣な表情で目を離そうとはしなかった。
「……ねえ、妊娠中はえっち、出来ないワケ?」
『えっ…?う、うーん…どうなんだろうね?……ウン…』
一般的に妊娠発覚後もしてそうだなあ~……と思っていれば目の前の視線は横にずれ、引き寄せてた手が離れ。
……背後で携帯で調べてんな、これ。
真剣な顔で調べてたけれどもだんだんと表情が明るくなっていく。あ、顔に答えが出てるね、これ。
「ヨッシャア!して良いってよ!よし!さっそく合体しよっか!」
『このテンションよお~……』
子供作っておいてしたい、っていうのは現在進行系で性欲があるって事。浮気されるより私で発散してくれるなら問題ないけどさ?
まるで散歩に行きたがる犬のように興奮気味の悟は私の両肩を掴んでガクガクと揺すった。
あばばばば…。
「ほらほら、お風呂っ、お風呂イクよっ!ゴムして激しくないならイイって!」
『お、お風呂場ですんのっ!?えー…いくら処理簡単だっつっても冷えるしベッドの方がさあ、』