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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第29章 赤い糸で繋がっているもの


悟は何を何を考えてるのか。動揺した視線は見て分かる。あんまり仕返しとしてからかいすぎるのも良くないか、と私は見上げた彼に深刻な表情からにこっ!と笑って見せた。

『……まだ分からない?あのチンピラどものどっちか、じゃなくって正真正銘、五条悟の子が私の中に居る……、それも医者が言うにはクリスマス辺りにした時のだろって。
……私のお腹に居るのはね、悟の子。悟との赤ちゃんが出来たって事なんだよ』

すぅ、とまるで海に潜って息苦しい中での水上での息継ぎのような呼吸。目を見開く彼は小さく、「は…?」と小さく疑問の声を漏らした。信じられないのかもしれないなって、紛れもなく事実である証拠を見せる事にした。
それは病院で貰った写真。小さな丸い姿。
もぞもぞと鞄から、手帳に挟み込んでたエコー写真を悟に見えるように差し出すと、私を抱く片手がそれを受け取ってただ黙ってる。

緩い抱擁から抜け出して歩道上でその写真をガン見してる悟を振り返った。通行人が迷惑そう…、というわけじゃないけれど無表情で私達を避けて通り過ぎていく。立ち止まってる人を避けるのは日常的なものだけど、今の私達はとっても大事なやりとりを、その彼らの日常の中でしてる。

悟が見てる写真、その白と黒の中の黒い丸が主張してる所を指差して。

『これ今日の写真なんだけどね、』
「……」
『六週目以降……あと二週間くらいしたら赤ちゃんの様子をまた病院で見てもらって、役所で母子手帳を貰いに行くんだけど悟も着いてこれるかなあ?私ひとりで出歩けないし……あとはその後、四週間に一回くらいのペースで定期的に病院に行かないとだからそれも悟に来て欲しいっていうか……、』

言葉をなくす、とはこういう事なんだろうか……。フリーズした悟を見てなんだか可笑しくなってきた。
この顔…多分、情報が追いついて無いんですけど?

欲しい欲しいと言いながら実際にデキてこの反応かー…と、とても面白くて。思考停止の凍ったみたいな悟がほんっと可笑しい。

固まっている彼の写真を持つ腕に手を触れてガクガクと揺する。

『ねえ、ちょっと悟、私の話聞いてんの?いつも騒がしいのに今日は静かすぎてちょっと気味が悪いんですけど……ねえ、"パパ"?』

「ぱ…ぱ……?…ン゙ッ」
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