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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第29章 赤い糸で繋がっているもの


「おねーさんひとり?」

ティッシュを持つ男性が差し出しながらにこりと笑う。よくあるティッシュ配りにお店の宣伝するやつだわ。
いらない、と片手で断っておくとまた違う店舗からの人から声が掛かる。

「ごはんまだ?お酒飲める?まだならウチの店舗来てよ!すっごいサービス良いからっ!」
『いや、だから要らないって』
「ウチ、どこの店よりも安いから!ねっ?おねえさんだけ割引もしちゃうからさあ!」
『……チッ、しつこい!』

片手で肘を掴み、引き寄せ、片足を絡めながら投げる。「ワッ」と短い青年の声。ドサ、と彼を投げた。しつこかったからって技を掛けるのはやりすぎだと私自身で感じた、衝動的にやってたんだ、私……。
何が起こった?という表情から投げられた事に気が付いた青年を見て私はその場から速歩きで立ち去る。怪我、してるようにも見えなかったし、これ以上あの場に居たら変に目立つし。

より薄暗くなる街中、街灯が歩道を照らしてる。濡れた歩道や道路が街灯の光を反射してる。
こういう自由は良いんだけどさ、さっきのやりとりを経て今の私は危険な状態っていうのは違いない。今の青年は戦闘力を持たない非術師だったけれど…。
自由だと感じてたけれどそれは戦闘力のある人や自身の目以外の視線から守られてないという事……危険の真っ只中。あの場から衝動的に走っていたといってもこれは皆にあれだけ心配させておきながら今現在、私自身が軽率な行為をしてるって事。

悟の浮気を見た現場では硝子と一緒だったんだ、彼女の手を引いて一緒に走り去れば良かったのに何も言わず私ひとり、衝動的に走って逃げ出していた。

今、私を守る人は誰も居ない。側で周囲を確認しあう人も。ただでさえ不安だというのに、今の私は呪詛師だけではなく、非術師にも狙われてる状態。

……明るいうちは人がもっと多かったけれど、それでも間隔を空けつつ歩道を行き交う人達。この人達皆非術師だとは思う、でも実際はどうなんだろう?なにも分からないような非術師のフリをして近付く人が紛れていたとしたら?
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