第4章 乱心、暴走
「ハルカ、何してんだ?」
"ギャアアァァアア!"
『ん…、父ちゃんが見えたら殴り掛かるようなやつを"燃やしてる"』
非術者である父には見えず聞こえちゃいない叫び声。父親にはきっと私が空間を掴んでるという謎のポーズに見えるんだろう。
私にはうるさいほどに叫ばれているんだけれど。家が火事になりそうな程に燃えているのだけれど。
「そっか、母ちゃんと同じく見えるっていうんだもんな。見えなくしたって言った日から、お前が生まれる前からあまり変わった行動しなくなったからなぁー…」
しみじみと過去を語る父の側で呪いを祓い終えた私は立ち上がった。
自宅でちょっとゆっくりしてからまた必要な荷物を取りに来た訳だけれど、急に決まった事を伝えなければいけないから。
『父ちゃん、あのね。明日、この力を使う為の学校の面談を受けようと思ってるんだ』
「……学校、か?」
キッチンの床をガガ、と音を立てて椅子を引く父。そこにどかっと座って腕を組んだ。
周りが見たらキレてる番長とも言われそうだけれど、これは真剣に聞いてる父だ。
私も父の目の前の席を控えめに引いて座った。
『うん、そう、専門学校の面談ね。
今住み込み中なんだけれど…合間に事務とか、あと父ちゃんにやったように人の怪我を治す事もしてる。他人の怪我を治す人が片手以内しかいなくてね、とても貴重なんだって。
今もね、人の怪我を治してるからお給料も出るんだー…ホームセンターとかより稼ぎは良いよ?』
「………」
『母さんの…私への優しさは分かっているよ。危険な目に合わせたくなくて、誰かを呪って続いた一族を穏やかに終わらせたいっていうのも。
でもね、私は生きたいから普通の人が見えないものを見たかったし、見える様になったら生き延びる為に戦う事も必要になるんだ。だから専門学校、通っても良いよね?学歴があれば、私はそういう職業で働けるんだよね』
父はシャリシャリと頭を乱暴に掻き、また腕を組んで俯く。すこし怒っているようだ。
そのまま私に質問する。