第29章 赤い糸で繋がっているもの
「なに真っ昼間から堂々と浮気してんだ、あんた。浮気は文化を本気で信じてんの?クズの下はなんだ?カスか?すっげー堕ちっぷりじゃん、どうしようもないな?」
「えっなに?偶然再会して速攻僕の事ディスってんの?いくら僕でもそれは傷付くんですけど??」
自分のした事を理解出来てないとかどうなってんだ?と五条の株がどんどん下がっていく。何が天才、だよ。チッ、と舌打ちをして理解の出来ていない男にも分かるように説明してやるか?
「愛妻が居るのにも関わらず女遊びを始めたあんたに言ってんの」
「女遊び??なに言ってんの、硝子?」
きょとん、とする五条に腹立ってきた。白々しいなあ、殴ってやろうか?私がやってもどうせ無限で阻まれるだろうけどさ?
そう私が拳を握りしめていると、五条に絡みつく女はふふっ、と笑う。よほど自分に自信があるんだな、と呆れてその派手な格好の女に視線をやった。
「……何?」
「もう、建物の外ですか?あの、ここなら、安全なんですか?」
……何を言ってるんだ?と女から五条を見ると五条は、五条の腕に絡みつく女をそっと引き剥がす。するともたもたとした足取りの女がなんだか危なっかしくて私は思わず手を貸してしまった。
「……おっと…五条、これはどういう事?」
「んー?ちょっとこのホテル内で生得領域が発生しててね。無事な人間もいるけど死者が数名出てる。で、この子は目をやられててね、硝子達の気配を感じて治療して貰おーって外に出てきたってワケ」
「ほら、僕の奥さんなり硝子なり、すぐに治せるでしょ?」とアイマスクの下の口元がにこにこと笑ってた。
ああ……じゃあ任務っていうのは本当だったのか……。
──そうだ、ホテル関係でも感情が入り組むラブホテルは呪いがもっとも発生しやすいんだった。なら、私達は早とちりを……。
少しばかり申し訳なくなって、雰囲気で判断してしまった事にはここで謝っておこう、と目元を見上げとく。でも普段の行いが悪いからそうにも見えるってんで、別に頭を下げはしないけどね?
「なんか、すまん五条。カスからクズに訂正しとく」
「……ディスってんのは変わんなくね?」