第29章 赤い糸で繋がっているもの
「……でも、ハルカと出逢ってからは五条、ずーっとハルカにしか興味を示さなくなっててさ。身を固めたしあのガキだった五条もようやく大人になったかと安心した。クズオブクズも付き合う相手で多少の成長はするんだってね!」
『クズオブクズ……』
私はそれを聞いてあはは……と笑ってしまった。すっげえ言い様やんけ。この瞬間、多分悟…今任務中だろうからバカでかいくしゃみしてると思う。
女の子には困ってないのは偽装して交際してたくらいには知ってた。わざとひとりモテる事にいい気分になってるのが分かったし。そんな彼も明らかに女の子の気配が無くなって、一緒に過ごしてる生活臭(柔軟剤とか、シャンプーとか、部屋の芳香剤とか)しか感じなくなって。
たまーにすっごいいい香りをさせてる時があるけれどあれは悟の香水。任務抜きの本気でデートを楽しむ時やねっとりとしたえっちをする雰囲気を作る時に香らせてる。
そんな成長した彼も一緒になってからも若干おクズな面はあるわけでして。私がそれをフォローしきれないから漏れ出したクズ要素が周りにも被害がいってるのは確かだ。
『……いつもおクズな部分を振りまかせてしまい、申し訳ないです…』
「そうは言っても誰もアイツを制御しきれないでしょ。ハルカが側に居るようになってからは以前よりまともになった…大したものだよ。五条なりに、結婚してから仕事もちょっと頑張るようになったみたいだしね…」
……それ、毎朝「やだーー!」ってゴネまくってるのをよしよしして送り届けてるからですよ、なんて口が裂けても言えないじゃないか…!と硝子から視線を反らしとく。
そうやって送り出してるから任務に行くのだけどさ。今、毎日忙しそうで逆に真面目に仕事をしてる悟が心配になるのが私としての本音。反らした視線を硝子へと戻す。
『仕事をちゃんとしてくれるのは良いんですけど。最近は明らかに頑張りすぎてるんですよ。朝早いし、帰りも遅いし泊りがけの出張も多くなったり。いくら特級呪術師だろうが体が壊れないかって……ありがちな心配なんですけど』
……ちゃんと休めているのかな。
帰ってきて速攻べっとりするいつもの悟を見てるけれど、特級呪術師としての仕事っぷりは見えない所で発揮されている。強い呪霊と戦って祓って、怪我なく帰ってきてくれるのは良いんだけど。