第29章 赤い糸で繋がっているもの
それを聞いた硝子はにっ、と笑って「心得た」と返事をしてくれた。
硝子のお昼の希望に沿って、向かっていた店舗へと入る。出来るだけ栄養っていうか、料理に使われている品目の多いものなどをチョイスされ「これ食っとけ」と私が決める前に決められて。
注文された後にちら、と見たグランドメニュー…あれもこれも美味しそうなのが多いし、かた焼きそば、写真で見るにすっごく美味しそうだったぞ……。夜もやってるからきっと酒飲みとしての硝子が気に入ってるお店なんだろうけれど。
もしかしたら何度かさっきの産婦人科に通う際に悟と来る事もあるかもしれない。食べたいものはまた次って事にして、硝子おすすめのメニューを今か今かと待ち。
お待たせいたしました、と持ってきたのはふたつの料理。
同じメニューを頼んだ硝子と私の目の前にプレート料理がコト、と置かれて。
「じゃ、ご馳走になるね~、」
にこ、と笑いカトラリーを手に取る硝子。
彩りの良いプレート上の料理は写真と違わずとっても美味しそうだけど。
私も硝子と同じく構え、声を合わせた。
『「いただきますっ」』
カチャカチャと金属と皿のこすれる音。料理を切り、口に運べば見た目通り、裏切らない味。
実際に食べてみて美味しいから当たりだった。あれ、これもしかしたら次もこのメニュー頼んじゃうかもしれないね…?
『これ、めっちゃ美味しいんですけど……』
「でしょ?今のハルカに必要なものは栄養だ、しっかり食べなよ?」
『ん…、シメにデザートを……食べても良いですかねえ…』
「ははっ…別に良いんじゃね?あんたの財布だしね」
硝子の許可もあるしついでにデザートも頼んじゃえ…!と追加でデザートを頼んで、最近落ち込んでいた分、取り戻そうとここでしっかり食べとこう。
私には食べたら?と言った彼女はあまり甘いものが得意ではないという事もあり、私がキャラメルソースの掛かったクレープを頼んだ後に追加注文でコーヒーだけを頼んでた。
……昨晩と今朝、今日の事をブルっててあんまり食べられなかったっていうか。つわりとかじゃなくて心の問題だった。食べる気分じゃなかったけど安心した今なら変なリミッターが解除されてめちゃくちゃ食べられる気がする。きっとこれから先、お腹の子の成長と共に食べられなくなるかもしれないし…。