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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第29章 赤い糸で繋がっているもの


274.

病院から出てぶらぶらと歩きながら、レストランへと向かってる私達。冬とは言え空はいい天気、悟を思い浮かべるような空の色であり、院内の窓辺は暖房と陽の光で暖かったけれど、外に出てみれば風がある分冷える。
……無駄に温かい格好、してきて良かったかも。
来る時はそれは坂でもないのに進みが悪かった足取りも今はとても軽く。

「まっ!良かったじゃん。次産婦人科に来る時は私じゃなくてアイツを誘って来な」

『はぁい……』

少し口を尖らせつつ、結構騒がせてしまった事に小さくなりたい気分になる。杞憂で良かった、いつもの調子でなんでもかんでも悪い方向にいくってものじゃないんだね……。悪いニュースではなく良いニュースになった事、とっても嬉しくて硝子に心配を掛けてしまったけれどこの結果は嬉しかった。

四週目、というと期間が結構あったって事じゃん、数日のズレくらいはあっても基本的に予定通り来ていた生理。アプリからの通知がなくても気付かないのとか鈍すぎでは……?いくら忙しいからって、前回のも覚えてないしどんだけ無頓着過ぎたんだと自身に突っ込みたい。
ある意味では気付いていない状態で犯された後に、それに不安になって検査して……での割と早い内(なのか?)での発覚だったのかも。えっ、私この事件に遭って無かったら下手したら『腹がなんか出てきたな…?』とかで把握したのかなぁ…?

恥ずかしさと申し訳無さで縮まる。そんな私に硝子は肩を少し強めにバシバシ叩いた。怒ってるんじゃない、笑みは浮かべてる。

「二週間後にとりあえず診て貰って成長具合を確認したら五条と役所行って母子手帳の交付ね、それ忘れない事!」
『ウィッス……あっ、硝子さん』

なんだ?と言いたそうな表情で覗き込む硝子。

まだ中に人間が入ってるだなんてちっとも分からない状態の私の腹部。今の私はひとりじゃない。性別の分からない、悟との子供が入ってるんだ。
ひとりでありながら私と子孫のふたりでいる事が不思議で、人体ってすげえ……と感心するその腹に私はそっと手を当てた。場所的にこの辺だろうという感覚で。もう片手で自身の口に人差し指を当てて硝子を見つめる。

『悟には言わないで下さいね?いっつもあの人に驚かされたりサプライズとかされる分、こっちから仕掛けてやりたいっていうか。
私からこの事を直接話したいんで……』
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