第29章 赤い糸で繋がっているもの
「逆算して十二月の後半……クリスマスイヴあたりの仲良しが効いたんじゃないでしょうかね?割と多いんだよねえ、九月生まれの赤ちゃん。判明するのは早かったけれど、大体来週・再来週って混むんだよ、うちの医院。
話が逸れちゃったね。ですからこの丸いのは腫瘍ではなく、この写真ですね、良く見て下さい、これがハルカさんに向けた旦那さんのクリスマスプレゼントねー」
にこやかなおじいさんは白黒写真のその円形の部分を爪先でコンコンコン、と何度も主張してる。
わかった、分かったから…っ!そんなに何度も言わずともさあー!
硝子がクス、と声を出して笑っていた。
「……フッ、ハハッ、あの五条からのとんだクリスマスプレゼントじゃん、おめでと、ハルカ」
『あの、先生?そういうのは、同行者に言わないで欲しいんですが………?せめて私だけとか…』
「だってハルカさん、不安だったでしょう?大丈夫だよ、ちゃんと旦那さんの赤ちゃんが居るよ」
ふっくらとした先生と共に短く笑ってた硝子。彼女の大げさ過ぎるほどに大きなため息と、バシーン!とちょっと強めに叩かれた私の背。
ビリビリと痺れながらにじーん、と痛い背中に片手で触れた。
『い゙っ…!?硝子さァん!?』
「…ったく大袈裟な事抜かして!真っ青な顔してチワワみたいにブルブル震えてさあ!
……っはー、心配して損したじゃんか!」
口調は怒りつつも、彼女は笑顔で声を上げて笑った後に「おめでとう!」と力を抜いて微笑んだ。