第4章 乱心、暴走
その伏せた視界の中、スー、と手でメニュー表が入場した。さっきまで吟味していた釘崎が食べたいものを決め終えた様だ。
「私はラザニアのセットにしよっと。ハルカさん、はいメニューです」
『……私もラザニアで。追加でティラミスを付けてやる…』
奢りであると言ってたから、ちょっとした仕返しだ。仕返しにしては可愛いレベルだけれどさ。
けれども飄々とした声はそんな仕返しに気がつくことは無く。
「いいよー、食べなー!」
「この人、銀座の寿司とか行く人なんでダメージ無いです」
『ファッ!?』
ザギン!?と驚いた。
それって回らないお寿司って事でしょ?スーパーの寿司とかで我慢しちゃってるよ、私。食べに行くなんてことは……あ、あるし。それに父親が昔、バイトで寿司やに入った事あるし。お家で握ってくれるし!
あとうちだって…スーパーの寿司から離れてたまに、回るけれど寿司くらい行くもの!りっぱ寿司とか。と言い掛けた負け確定なので口を閉じでへっ、と笑った。
「おっ、強がってる強がってる」
『強がってないっ!……へへ、釘崎ちゃん、サイドかデザート追加…しない…?』
「へへっ!もちろんですとも!」
些細な仕返しをして、私は用事があると別れ、久しぶりに家に帰る事にした。