第28章 想定外
「次は試運転。右人差し指の爪と好きな足の爪それぞれ一枚、剥がれた状態へと"罰祟り"をして、左手の薬指を切り落とす。これを実践してねっ!これくらいならキミ自身の体に負担もないでしょ!」
……ほら、こう来ると思った!
覚えたら実際に出来るかどうかを試すんじゃないかって思ってたら案の定だよ!
『……マジ?』
「マジ。マジでデジマ。とりあえずはコイツ(ヒサカイ)で慣れな。何度でも試しても良いし、死ぬ以外だったら全ての爪や指を試したっていいよ?」
『ちょっと、それは……遠慮したいかなあ~…なんて』
……こうして私は、学習のための時の悲鳴を聞き、テストとしてのヒサカイの悲鳴を聞いた。
結果的に指定した場所を完全に負傷を与える事が出来る、として"良い結果"として負傷を与えたヒサカイを治癒した後にその場を去る事になったけれど。
その良い結果とは今後、私が今回悟がやったみたいな、次々相手を痛めつけていく行為。口を割らない限り、痛めつけては治療というこっちの精神をすり減らす事をする。
……私に尋問なんて出来るのかなあ。言葉で誘導出来ないのなら拷問へと移行していくんだ。今日だけでだいぶ疲れたんだけど。
「──じゃあ、今日はここまでだね、おつかれサマンサ~!」
とん、と背に触れた手が私の背を優しく撫でる。
息を切らせて小刻みに震えてる、怪我をひとつもしていない状態にまでしたヒサカイを残して重い扉から出て。その隔離された室内からまた長い通路を悟と私だけで引き返していく。
その後、私ではなく他の人がヒサカイに尋問をしたと聞いた。その結果、彼が持っていた情報を聞き出せたというので悟の言う、裏切ったなりに彼の利用は出来たみたい。
ヒサカイから聞き出す情報は全て聞き出してある、と上が判断して、後日ヒサカイはこれまで通りの手順で処刑される事となった。