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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第28章 想定外


271.

尋問をするため、なかなか情報を吐かない相手の為に拷問をする。その拷問をするに至ってのタネとして、相手の負傷状態を覚える。今まで指が数本折れたというのは治しているけれど、器用に親指、人差し指…なんて皆が調整したみたいな怪我をして医務室に駆け込むわけでもないし。

悟と並び、案内する男の後を追って、薄暗く地下の狭い通路を進んでる。悟はここに来るのは虎杖が宿儺を取り込んで以降、久しぶりらしく。あまり使われていないっていうのもあってカビ臭く感じた。

私は今日、呪術高専という呪術師の要である組織を裏切った"元"補助監督生の男……ヒサカイを利用し、後々拷問をする時に使う怪我をわざわざヒサカイに与え、それを私が吸い取る……という作業をする。
学校生活での教師姿でおなじみの悟の姿が隣にあって靴音を鳴らし進み、お互いにとあるドアの前で立ち止まった。連れてきた男はそこに待機で中に入るのは私達、ふたりだけ。このドアの向こうにヒサカイが拘束されているらしい……。

片手はポケットに、もう片手で厳重なドアに手を当てる悟。案内してくれた人とは別に見張りがふたり居て、三人して私達をじとーっと粘ついた視線を送ってる。よく見れば見張りのひとりは昨日、帰りにワゴン車を運転していた男。
その男が悟になにかを手渡していた。それは厳ついニッパー。ニッパーを片手に持ち再び扉に顔を向けた悟。

「……くれぐれも昨日のように殺してしまわないように」
「え~…?はいはい、大丈夫大丈夫…………多分!」
『多分てねぇ……』

私からの呆れる視線を受けて、口元に笑みを浮かべた悟はドアを押し開けていく。
ギィ、と軋みながら重めの音を立てて開かれていく扉と、通路よりは明るい室内。揺らめく燭台の炎によるぼんやりとした明かりは幻想的でもあるけれどそれを台無しにするのは部屋一面の禍々しい呪符。部屋の中央には椅子。それを縄、いやそれよりもとても太い綱が固定してる。
その椅子に捕まえられた姿のままに後ろ手に拘束された男。
この呪符の力を上回るような、もしくは専用の呪具でも無い限り逃げ出せないのだとは思うけれど……。

項垂れていたヒサカイが顔を上げる。裏切りが発覚する前のような人の良さそうな表情とは打って変わり同じ人物なのに別人みたいな弱々しい顔付き。観念した表情だった。
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