第28章 想定外

｢んも～、甘えん坊さんめっ！｣
『ん～…暖か～い』
｢寒いだけかよ。ふーん？寒いんだ？じゃあ今から汗だくになる運動するからね～？｣

至近距離で妖艶な笑みを浮かべた悟は覆いかぶさる腰を落とす。私の開いた脚の間……、下半身に少し湿り気のある硬いモノが当たってる。まだ挿入せずに焦らしてるモノは狙いまで定めた状態で待機してる。
汗だくになる運動…、今からするんだ。いいよ、今の私はそれをしたい。
こく、と頷くと優しく触れていく大きな手。私を壊そうとしない、大事に扱ってくれる手のひらが、指が丁寧に私の反応を見て愛撫していく。

酷い扱いを受けた箇所。
もう怪我は無くなったとしても記憶に刻まれたもの……、掴まれて、殴られて、汚い舌が這った肌の上。それを私の耳元で、彼の優しい声色での｢愛してるよ、｣という言葉が、恐怖や不安と暴力で染められていた体身体を少しずつ愛情で書き換えてくれる。

『……あっ、ンっ、』

感じて顔を目の前の彼から逸らした。
その私の頬を少し汗ばんだ指が優しく触れる。彼の手は肌を滑るようにするすると悟の熱を残しながらゆっくりと降りていき、顎を指先で摘んで。

｢ちゃんと僕を見て、ハルカの全てを把握させてよ｣

目の前の悟と視線を合わさざる負えない。視線が合った瞬間、ばちっ、と電流でも奔ったみたいで、目が離せない。その瞳は優しく細められて、そのまま顔を近付けてきて。

｢ハルカ、愛してる……｣

優しく触れた互いの唇。そっと唇で食みながら、侵入する舌は私を確かめるように口内を優しく撫でるようにしてる。

『ん、ふ…ぅ』

｢…っ、ハルカ、酷い事をされた後で僕とえっちするのは怖くない？大丈夫？｣

唇が離れて、顎に触れてた片手が更に下へと撫でるように這っていく。そうして胸を優しく愛撫してる悟。
心配そうな表情で私に確認してる。
私が彼に嫌な記憶を塗り替えてという頼みをし、ただそのままに抱けば良いのに優しい彼はトラウマになってないかって何度も確認してくれた。怖くなっても途中で止められる様、逃げ道を作ってくれてる。

布団の中で密着した熱い身体。
そっと両手で引き寄せるように寸前で止められているその腰に両手で軽い力で引き寄せる。
……その配慮が悟らしい。いつもデリカシーのない事ばっかりなのに、大切に想ってくれるから。嬉しくて早く彼が欲しい。