第28章 想定外
「……ああ、ハルカはそんな事を心配してんの?もぉ~…心配性だなあ…」
眉をひそめて悟がクス、と笑った。
「お風呂入ったじゃん?だから綺麗でしょうに」
『そういうんじゃなくって見えないさあ~……、』
「ふーん?でもさ、今から僕がオマエの事、エテ公共に触れられた所をどんどん上書きして、乱暴された所を優しくして、嫌な記憶を少しでも忘れられるように僕で満たしてあげるよ。
つまりはそれくらいで愛想尽かないっちゅう話。アンダスタン?」
もぞもぞと布団の中で服を脱いでいく彼。
『……良いんだ、こんな私でも…』
私自身の独り言でも悟に言った言葉でもなく、ただ心の声が漏れただけ。
「僕はハルカだからいいの、だって僕のお嫁さんだろ?捨てるわけないじゃん」
誘ってて彼に聞いてる私であるけれど、その悟の吐き出す言葉ひとつひとつが嬉しい。
スウェットをすぽん、と脱いで床に投げ捨てた悟。
『そういう悟の優しい所、好きだよ』
「もー、なに言ってんの。ハルカは僕のスパダリな所だけじゃなくって全部が好きでしょ?」
『……一部性格面が欠けてますが?』
「んん~?マンションから急いで玩具持ってこようかあ?」
にっこりと笑う悟がやけに楽しそう。これはドSモードな悟だ……首を振って拒否しといた。
思い出すのはマンションに連れて行かれた日に見た戸棚の光景。アダルトグッズのソムリエか?というくらいに陳列された玩具。ブルブル震えるローターでさえ即果ててるのにあれらをわざわざ持ってきてされたら…と思うとゾッとするわ。このベッドがビシャビシャになる可能性、大。
私が首を振ると悟はちょっと口を尖らせて私の着ている寝間着に手をかける……というかもぞ、と腹部から手を忍ばせこんで肌を撫でてる。
「ほら、えっちするんだから。早く脱いでこ?」
『う、うん…脱ぐからちょっと待って』
ただ衣擦れの音だけが部屋で聞こえて少し肌寒い中で素肌へとなる。私が身につけていたものを悟は私の手からもぎ取ってすごい勢いでぽいぽい床に散らしてた。どうせ脱いでもそれをまた着るんだし、着替える時拾いやすいようにすれば良いのに。
にこっ!と笑った彼は肌と肌を擦り合わせるように覆いかぶさる。部屋の空気が入り込んでた布団の中、彼の体温が暖かくてひしっ!と私も張り付く。ちょうど良い人肌。大好きな彼の香り。