第4章 乱心、暴走
"はーい、もしもし?ハルカ?珍しいね、どったの?"
『あの、単刀直入に聞くけどとってもとーっても重大なお話、私に伝えてないよね?ヒント、明日について』
"……えー?なんの事だろー……あっ、やべ!"
本当に分からなかった声色は、最後の声で笑いながらも焦りだす。笑って誤魔化してるな、この人。
街中の雑音の中、私は携帯を通したその声に集中していた。
"あは、あはは……うん!ごめんなさいねー!今どこにいる?街中?そっち行こうか?いいともー!行く行く~"
『いや、そういう、悟を呼び出したいってわけじゃあ…っ』
"来たから通話切るよ!"
雑踏、とは行かずとも人が多く行き交う中。その言葉で通話が切れた。3人を背にして通話していた私の目の前には誰も知り合いは居ない、となると。
その場でくるりと振り返ると3人と私の間に悟が立って居た。きっと術を使って来たんでしょう、黒尽くめではなく普通の格好にサングラス。ラウンド型ではない。かなり新鮮だなぁ。悟はニッ、と笑って片手を上げて挨拶してる。
私はそんな悟をじーっと見ていた。悟は照れたように首を押さえて笑っていた。
いや、笑ってる場合か!本来の目的を思い出す。覗き込むように悟を見上げる。
『ヘラヘラ笑ってる場合かぁ~?面談がある事も明日だという事も知らなかったんだけれど』
「あっは、ほんっと忘れてたんだよ~ごめんごめん、制服のデザインをさー、あれこれしてたらさー」
伏黒は悟を指差し、私に向かって呆れたように言う。「こういう所があるから気を付けて下さい」…と。
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「──という訳。だから明日は夜蛾学長の面談受けてね。で、キミのクラスメイトがここの3人です。ハルカは普通に高校、短大出てるから一応普通科目真面目に授業聞こうが聞かまいか自由だけれどテストでちゃんと成績を出してね~。
あとあとー、硝子からのお呼びが掛かったら授業そっちのけで向かってね、他人を治療出来る術師育成を早くしたいからさー。任務も治療も経験じゃんじゃか積んでちょうだいね!」
『あの、まだ面談すら受けてないんですが???』
「まあそこは大丈夫っしょ!」
イタリアンレストランに入り、窓際奥に私、隣に釘崎。私の目の前に悟、悠仁、伏黒が座っている。