第4章 乱心、暴走
「私達に言ってハルカさんに言ってなかったのかよっ!」
「制服、ある程度カスタマイズ出来るって話だから、五条先生にちゃんと言っておかないと勝手に決められるぞ!俺、パーカー付きにされたし。嫌じゃないから良いけれど」
悠仁は私服ではあるけれど、自身のパーカーを掴んで私に教える。
つまり。私は何も知らなかった、という事だ…!
『サンクス、悠仁君。もしも制服の袖に腕を通す事になる場合、あいつに好き勝手決められるよりかは自分で決めるわ』
制服のカスタマイズなんて面白そう。どういうのにしようかな、の前に面談が先なのだけれど。
4年制である(5年制だけれど、1年間を空ける)から慎重に決めたいなぁ。ふわふわと脳裏にデザインを浮かべては消していた時だった。
悠仁が不思議そうに言うのだ。
「……でも、五条先生、もうそんなにみたらいさんに変に関わらないんじゃねーの?俺みたいな制服カスタムとかさー」
『?』
「ほら、別れてるし、いったぁ、釘崎!?」
「虎杖!デリカシー!乙女心を辞書で調べてこいっ!」
悠仁の背を釘崎がバンッ!と音が出るほどに叩いた。言いたいことは分かっている。
ははは、とちょっと笑えてしまった。笑えたけれども視線は3人から離れ、斜め下の歩道へ。
『まあ、うん。別れた件は向こうも気にしてないだろうし、全然気まずくないみたいだし』
「いや、あれは気にしてるね。そして…ハルカさんも結構気にしている…!」
『夜たまに深酒する程度だよ、そんなに気にし、』
「「「気にしてるから」」ちょっと先生に面談について聞いてみます」
顔を上げれば伏黒は呆れたように携帯を取り出した。
私はその携帯を取り出した伏黒にストップ!と手で制止して自身の携帯を取り出す。
めちゃめちゃ重要案件を本人に言わなくてどうすんの!もしも今夜深酒なんてしたら明日大変な事になる。飲んだ翌日に面談ってなればあの我が父に良く似た学長……アル臭纏って面談舐めとんのかワレェ!くらいの怒号は飛んでくるだろう。ガッテム!とか言われかねない。
五条悟、という名前の連絡先を開いて耳に携帯をあてた。3人を背にして。
2コールほどした後、すぐにコールは消える。