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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第28章 想定外


『悟?』

「……ハルカ。ここで、オマエはアイツらに襲われたの?」

状況が全てを物語ってる。誰にでも分かる状況を悟は直接私に確かめた。とても言いにくそうに、けれどもそれでも聞かなきゃって勇気を込めていたように感じた。
悟自身も聞きたくないのに聞いてるんだ…。

『うん……』

「……間に合わなくて、本当にごめん。ごめんね、ハルカには本当に怖い思いさせちゃったね…」

彼の視線が部屋のあの痕跡に向けられてた。血の後や事後のゴミ。それを見て眉間にシワを寄せてた悟は私へと視線を戻して。

「何がなんでも、僕ひとりで突入すれば良かった…!そうすればハルカは…っ怖い思いしなくて良かったハズなんだ…っ!」
『悟は悪くないよ。また、私がトラブルメーカーしただけだし……』

いつも明るく騒がしい彼がこうにも感情的になると戸惑うよね。
私が数歩悟へと近付く。悟はボト、とヒサカイを脱衣所の床に降ろした。ヒサカイは逃げない、抵抗して這って逃げても相手が特級呪術師であるからそれは意味がないのだと分かってる。
裏切り者の男から視線を悟へと上げる。そのまま半歩、彼の胸に飛び込むように抱きつくと悟がぎゅうう、と私の身体を強く抱きしめた。

『ほんとは…ほんとはね?……怖かったよ』

「……うん」

『反撃も抵抗出来なくて、ただやられっぱなしで……私の中にさ、生じゃなくても汚いものが入ってくるの』

「………」

思い出してぞわぞわと嫌悪感が復活する。鳥肌が立つ、思い出しカタカタと小刻みに震えた。上着をまだ着直していない、悟のシャツを背中側でぎゅう、ときっと皺が出来るくらいに掴む。

『口にも、汚いの入ったし!そんな事になってるの、悟に嫌われたくなくって!』
「……僕は、それくらいでハルカの事を嫌いにはならないさ」

優しい大きな手が背を擦ってくれる。

『とっとと早く終われって、思っても二人がかりじゃ…っ!
終わったら変態の格好されて、一年ごとにおっさん共に売られるし…っ!でもっ!』

彼に負けんと言わんばかりに私からも力いっぱいに抱きしめた。

『悟が来てくれた事が嬉しい。信じてた、助けにきっと来てくれるって…!』
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