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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第28章 想定外


駄目だ、忘れなきゃ。頭を軽く振りあの時の指輪が投げられた事を思い出す。
……確か、音がしたのは壁際の方だった、じゃあ壁の近くを探せば高確率であるかも……、そう記憶を辿るように探し始めて。

……どこ?どこにあるんだろ、私の、私と悟との大事な指輪…っ。

「……見つかりそう?」

ヒサカイを捕らえてる為に一緒には探せない悟が出入り口付近で外の通路の警戒しつつ様子を見てる。

『もうちょっと待って!多分、この辺に投げられてたから…っ』

ホコリまみれの暖房器具の近くで背を低く、むしろその器具の下を覗き込むように床に頬を擦り付けて見れば、僅かな光を受けてキラリと光るものを見付けた。

……あった!見つけた、こんな所にあったんだ!

『……よっし、あったァ!』
「ん、それは良かった!」

手を伸ばして届く位置にあった指輪を摘む。
それをしっかりと持ち、洗面台に急いで、汚れを洗って。
……そう言えば口を濯ぎたかったんだと思いだして濯ぐ。可能な限りは汚いものは私から無くしたかったし。

そのままに籠から溢れるように床に落ちてる服を見て、悟を見上げた。

『……着替えても?』
「ん?いいよ」
『じゃあ着替えるからあっち向いてて』

流石に悟の上着を着てるとはいえ、強制的に着替えさせられた変態的な格好はなんとかしたい。持ち帰りたくない…、悟の趣味ならともかく他人の趣味だし。
悟はきょとんとして私を見てる。ぶら下がるヒサカイも視線で何か訴えるように見上げてた。

「なんで?いつも僕、オマエの着替え見てるでしょ」
『……ヒサカイが居るじゃん。目の前で乳晒せって言うの?』
「あー…それはヤだわ。じゃあ、コイツだけオマエ側にケツ向けさせとく。今はハルカをひとりにさせたくない…守れなくなるし」

ぐるん、と回転させて顔がこっちに向かないようにした悟。
それを確認して私はまず借りた悟の黒い上着を脱ぐと籠に掛け、そのまま着せられた透けまくってる赤いネグリジェを身から剥がす。
悟にかつて用意されたものよりもえげつない下着も外していき、ガーターやストッキングなども投げ捨てて本来着ていた普通の下着を着ていく。

わーお、とか茶化すだろうなと思ってた悟は一言も口に出すことなく黙って見ていたみたいで、拐われる直前まで巻いてたマフラーまで巻いたところで彼を見上げると浮かない顔をしていた。
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