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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第28章 想定外


悟の神経を逆なでして勝ち気になった男は威勢よく叫んだ。悟を狙ってか、客席側からの銃声。彼の前にいくつかの鉛玉が浮いて鈍色に照明を反射して光ってる。

……まさか無限を纏ってる、なんてカワグチ組やヤクザの仲間達も思ってないんでしょ。口を開け小刻みに何か「あばばば…」と言葉にならない声を漏らしながら固まってる三人が、傑による重そうな拳を食らって地面に伏せていった。
傑が戦ってる所を改めて見たけれど。呪霊を扱いながらにその体術の一撃が重そうで彼は敵に回したくない方だな…。

クク…ッ、という喉で笑う声に会場からストリッパーの舞台上、悟に視線を向けた。
彼は金髪の男の頭を掴んだままに肩を揺らしていた。

「……クッ、ククッ……ククアハハハ!…は~ぁ、ただで済む、ねえ…?
……ふざけてんのか、発情エテ公。非術師だろうが呪術師だろうが……ヤクザ程度全員潰すなんて簡単過ぎるんだよ、僕も傑も最強だ、僕ら最強コンビに反社程度が歯が立つと思ってるとか救いのないくらいにおめでたい頭してるよ、オマエら」
「あ、が、ががァ…っ、き、きさまぁぁ…っ、」

泡混じりの唾液を口の端から垂れ流しながらに金髪は悟を睨みつけてる。どんなに私が悟にしがみついていても、これ以上の今の彼の行為を止められる自信は無くて。
ククッ、としがみつく悟の体が笑った動きで揺れた。

「……じゃ、僕がオマエを殺した後は閻魔サマに裁かれてね!」

楽しそうな悟の声色。彼に掴まれた男、ググッ、と喉の奥で呻く声と共にゴキ、と鈍い音が聴こえた。片手でもぎるようにいとも簡単にガタイの良いヤクザの首はへし折れ、ミチッ、ミチニチニチ……という、肉を調理する時に何度か聞いた事のある音がした。ぞわ…っ、と私の全身が粟立つ。
男の首はブツッ、という筋繊維を引きちぎる嫌な音をさせ、悟は胴体に君臨していたであろう、その首を床に転がした。ボト、ゴロン……と無造作に。

睨みつけるような目を見開く、苦悶を浮かべた最期の表情でオオウチの慕う金髪のヤクザの頭が横を向いて、鼻が邪魔でそれ以上転がるのをやめた頭。もう、首だけの彼からは二度と罵声も痛みの声も発することはなく。ただ頭部に回った血液がとくとくと毟られた血管から床に血溜まりを作り始めている。

悟はふう、と息をついた。
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