第4章 乱心、暴走
29.
「ハルカさーん!」
『釘崎さん…と、ああ1年全員で行動してたんだ、君達仲良いねぇ!』
今日は休み。何かあったら電話が来るらしいけれどその時はダッシュで帰らないといけない。
高専の敷地から出て私はひとり買い物へと向かっていた所、私服の3人に見つかってしまった、というわけだ。いや、ひとりで居たい訳じゃないけれど。今日呼びかけた高校時代の友人は仕事入ってたし。
小走りでやって来た釘崎は後ろに悠仁、伏黒がのろのろと追ってきていて、悠仁は私に向かって手を振っていた。
「ハルカさん、私…いや皆でなんか奢りますよ~?」
『なぜなに急に』
にっこにっこと機嫌の良さげな釘崎。何か良い事でもあったんだろうか?と今は触れることの少なくなった、肩に両手を乗せられて目の前のご機嫌ガールに問いかける。臨時収入でも入ったのか、そんな高専の居候に奢るだなんて。
私が不思議がる事に、質問に質問をぶつける釘崎。
「え?だって今度学長の面談受けて、私達1年のクラスに編入するんですよね?」
『……ん?』
思わず固まり、首を傾げた。初耳だ。
『そうなの?……そうなの!?私一回高校生終わらせてるのに?専門学校だからって事で?学歴とか資格とか経験とかそんな感じって事?』
目の前の釘崎と、合流をした悠仁と伏黒にも聞く。釘崎と悠仁も私と同じく首を傾げ、伏黒はため息を吐いた。集う4人それぞれが頭にクエスチョンマークを浮かべている光景である。
「あの馬鹿、そういう大事な話を当人であるハルカさんに言ってなかったんですか?」
そんな話は最近してないなぁ。聞き漏らした訳じゃないはずなのだけれど。頬をぽりぽりと掻きながら最近の悟との重要そうな会話を思い出しても、特にその点には触れられてなかった。
相当前に医務室での会話があった、くらいかなぁ…、学生について触れた話は。
『結構前に、呪術に慣れてきたら学生になると良いよー、とかそういう話は聞いたことあるけれどその今度っていつの話?』
「確か…明日」
『あした』
リピートアフターミー、"明日"
呆れた表情を浮かべた伏黒。釘崎も呆れて頭を押さえている。