第28章 想定外
「では次の商品に移りたいと思います。
所有権は我々カワグチ組でありますが……この度、一年毎に貸し出す権利を売ろうと思いましてこちらでの競りを開催させて頂きました!
ええ、若い時程価値があるでしょう、後になればなるほど寿命がどうなっているのか分かりません…!もちろん、従順になるように先程係が"躾"をさせて頂きました!旦那様たちにはきっとお悦びになるかと思いますが、ご希望に沿ってこちらでオプションとして薬漬けでの提供もさせて頂きます!
……皆様、お好きでしょう?ただ寝転んでいるだけで淫らな女に一方的に精液を絞られるようにされる行為は」
ザワザワと個々が騒いでる。早く見せろ、と急かす野太い男の野次馬の声もある。騒ぐ声色、口調からして幕の外には世紀末なんだろうな、と思ったら救いがなさすぎて笑えてくる。
「……ええ、ええ。焦るのも仕方ないですね!今は反抗されないように呪術が使えないようにさせて頂いてます。少々躾に手間がかかり、現在は大変醜い状態ではありますが生かしてあります。正式に契約時には封印も解き、自ら治療をするでしょう……。
では、お待たせいたしました!」
騒がしい中で雑な説明をされ、モーター音と共に幕が少しずつ開けていく。
私の居る場所は証明に照らされて明るいけれど、幕の外側は薄暗く丸テーブルが幾つかあって……どっかの式場とかの会場のテーブル配置みたいだった。けど、そのテーブルクロスのされた丸テーブルに組んだ足を載せてたりと大変お行儀の宜しくない人達ばかりが目立ってて、最低最悪の会場なのはひと目で分かる。
また、そのテーブル周りにはスーツの男や袴の男などが座ってこっちをじろじろと見ている。双眼鏡をつけてまでして見ていて、にやけてるジジイ。……舌舐めずりしてる。
私は俯いた。見世物じゃん、こんなの……っ!こいつらの何人かが私を目当てにしてるという事。……イヤだ、気持ち悪い!
足は震えて動かなかった。
何人ものの視線がオオウチ達のソレに近いものだと感じて、レイプを思い出してしまった。相手をさせる為に私はこんな格好をさせられてる。買われてすぐに、その相手と性行為をするようにって……。買われたら私、あの地獄をまた味わうって事だ…。
「商品ナンバー、3!怪我を吸い取り、また憎い相手に制裁を与える春日一族の最後のひとり、ハルカでございます!」