第28章 想定外
──これから私、どうなっちゃうんだろうな…嗚呼、最悪。
売られた先で呪符を取り付けられて、そこの男達にレイプされる日々が待ってるのか。頬を今日何度目かの涙が流れていく。ひとりになっても背後の呪符なんてどうにも出来ない。相変わらず呪術が使えない。逃げ出す為の足もあいつらに何度か引き摺られて傷だらけ。身体のあちこちが痛いけれど今の所一番痛むのは折られた指が重症だとは思う……。
そんなタイミングで幕の外ではスピーカーからテンション高めの音声が流れた。
「──急な呼びかけでもこちらにお集まりの皆さん、リリスのVIP席へようこそお越しになりました!」
ざわついてた空間が静まり、マイクの音声がはっきりと聴こえる。リリス…、このストリップバーの名前、なのかな…。皆、今マイクを持っているであろう司会者に集中してるんでしょう。少し上擦った声の男の声はスピーカーを通して室内に響く。
ただのバーじゃない、普段からこうやってんのかな。防音対策とかされてそう。VIPとか言ってたしさ…。
「本日お呼びしたのは三つの商品が入荷したからでございます!喉から手が出そうなくらいに欲しくなるような相手を呪う人形、呪われた刀……。
そして目玉商品の噂の呪術を使う者。かの宗教団体が奇跡として利用していた女の三点となります!女については一度噂は途切れ、ついこの前都内の病院で一度奇跡を起こしておりました…。
そう、その奇跡。カワグチ組で買い付ける事が出来ました!」
パチパチパチ…、とまばらな拍手。
早速だけどなにやら始まった幕の外でのやり取りはオークションらしい、競り合う掛け声。怒鳴り声みたいな競りに恐ろしさを感じる。
人形と刀はそれぞれが高値であっさりと買い手が決まって……。
いよいよ、目玉商品らしい人身売買、私が売られるターンに入る。