第28章 想定外
脱衣所には幾つもの内容物の詰まった避妊具が精液が溢れないようにと結ばれ乱雑に投げ捨てられていた。ふたり掛かりで始まった行為、何度も欲の勢いで叩きつけられるような押しては引く行為を早く終われと願いながら、悔しくて泣いても、叫んでも途中で終わるって事なんて決して無かった……。
そんな状態でももう一度浴室に連れて行かれて、シャワーで雑に洗い流されてタオルで拭かれる体。自分の意志なんて関係なく、男達によって下着というには儚いものを着けられる。
もはや、私は自身を人形のようにも感じてた。もたつく足取り、引き摺られるか持ち上げられるかして私は二人に運ばれる。
『………』
溜まってた欲を吐き終えてか、私が抵抗を全くしなくなったからか。すっきりとしたような表情の男達。金髪はズボンのチャックを上げ、ベルトを締めながら、黒髪の男のオオウチに顔を向けていた。
「なかなかにいい締まりだったなぁ~……オオウチ。売りに出すにはもったいねえ…カワグチ組専用の情婦としてキープしてぇくらいだ」
「すっげぇ絡む穴でしたね、兄貴。俺も一発どころじゃなかったですわ」
ひとつの作業をやり遂げたように笑い合う男達を私はぼーっと見ていた。
いたい、いたい…あちこちが、胸の奥が痛い…。
「だな。これは春日の呪術師ってだけじゃねえ、ただの女としても高値で売れる名器だ。じゃ、抜いてスッキリした所で時間も迫ってるしコイツをとっとと会場に運び出すぞ」
髪を捕まれて、無理矢理に立たされる。脚のスネがズクズクと痛んだ。それだけじゃない、指も頬も、殴られたり蹴られたり…無理矢理に突っ込まれた箇所も痛む。
『……っ、』
足を止めようとも、僅かに踏ん張って抵抗しようとも、それでも私を引っ張っていく。拘束具と共に付けられた呪符は私のこの状態では取り外せなくて。
……今でさえも嫌なことをされたけど。この後の方がもっとヤバイ、すぐに売られた先で犯されるんだ、私…。
こんな状態で悟に会わせる顔なんてない。そもそも助けに来られないなら、自力で逃げ出すしかない。逃げ出せる機会なんて、売られた後もある?今がこんな状態なのに…っ!自由の保証なんてないじゃない!
……だからって自由の為に従順に玩具になりきるなんて出来ないけれど。とりあえずはあちこち痛む体を治したかった。治して万全な状態で、呪符をどうやって取り外せば……。