第28章 想定外
里親、的なもの?私、成人してっけど……その家で治療なり体罰なり道具としてレンタル品として扱われる、そのリースって事で良いのかな…?
私の反応に真顔になるふたりは互いに見合って下卑た笑みを浮かべた。
「意味が分かって無さそうな顔だな……兄貴、せめて緩そうな女の頭にでも分かるように説明した方が良いんじゃないっすか?」
『……』
緩そうに見えるんかい……。
ま、簡単にここに捕まってる以上隙だらけで緩くも見えるんでしょ。反論は出来ないわ……。
金髪はニチャ、と笑って肩というか体全体を僅かに上下させて笑い声を上げている。
「ク、クククッ、あっはっは…!
お前ら春日の呪術師ってのは女のガキが生まれると、お前みたいな治療が出来る分身が百パー出来るっ、だから価値があるらしいじゃねえか?
それを利用して一年以内にお前を孕ませて産ませる。そして次の年には違う客の元で孕まされんだ。
ただガキを作る女ってだけじゃねえ!怪我を治して貰うし、そこのお前の組織で裏切ったようなヤツに対する拷問にだって使えちまう。女として利用価値が無くなるまで、血統書付きのチワワの繁殖みたいに扱うって話だ……。
ここまで言えばそのちんけな脳みそでも分かるな?」
『……っ』
トントン、と指先で強めに額を突かれる。
……これは、逃してといっても絶対に逃して貰えないやつだ。まだリベルタの方がマシだった。
あれは治療をしてお金を稼ぐ、たまに龍太郎と関係を持たせて増やそうくらいの考えだったし。
それを体験したら、こっちが本当の悪だ、流石カワグチ組といった所か…反社会的組織の代表とも言える。
背中の見えない位置の手を動かしても解けない拘束。制服だったらウエストポーチにナイフが入ってたけど、今は私服。手に嫌な汗が更に出てきた。
「じゃ、商品を売れるようにケアしねえとな~」
『ケア…って』
じりじり近付く男から仰け反るも意味なく、ひょいと横抱きにされた私の体。間近の顔に頭突きしてやりたいけれど、無謀に行動したら後が無い。呪術が使えないって事は治療も出来ない、手足をもがれて陳列棚(?)に一時間後に並べられるかも…。
実際に今は腕が拘束されてるから抵抗しても相手が怯むような攻撃は出来ないし……。
上下する体、歩みを止めずにどこかに向かってる。視線は進行方向に、時々私に降り注いだ。