第28章 想定外
"……500万?"
「……200付ける?」
"この通話の後に五分以内に必ず送金しな。
で、場所についてだ、これはカワグチ組の経営する、都内の……──"
こうして彼女の居る場所は把握出来た。ああ、うん冥冥に追加の送金も忘れずにしてね?
ただ、今から突入する人数を集めるのは無茶で。時間が惜しい、だったら少人数で突っ込めば良いワケよ。少し考えて僕は傑に連絡をし(調査してたし、その任務も進むだろ)その場所に来てもらう事にした。傑の言ってた反社はカワグチ組で間違いなく、呪詛師を利用した組の資金源チームを作ってたみたい。
「……はあー…、仕事、早く切り上げて本来なら奥さんと真っ昼間からトロあまえっちしたかったのになあ…。なんでハルカ、すぐ巻き込まれるんだろーね…?」
肩を落としつつ、タクシーを見つけて手を上げて。乗り込んで冥さんから聞いた場所に向かって貰う最中に僕のスマホにまた誰かから連絡が入った。
「忙しいのに一体誰かな~…?」
歌姫からか、ちょっと今カチコミに行くから忙しいんだけれどな?
丁度赤信号で停まるタクシー。早く現地に着いて欲しいのにこういう時に限って赤信号に掴まるの…なんでだろうね?
「もしもぉし、歌姫?今僕忙しいんだけど?」
"……あっそ、情報要らないの?"
「アッ居る居る、オセーテオセーテ」
歌姫からの情報が入った。
まずヒサカイについての情報。
ヒサカイは京都校出身の男。七海と同じく外に暫く働いてた。ただ、まともな仕事はしてなくて、高専に戻ったのは金に困ってたからみたいだ。
呪いは可視出来る。帳程度の簡単なものは使えても補助監督生以上の金を稼げる呪術師にはなれなかった。オオゴウチ曰く、「俺も呪術師であればもっと稼げたのになあ」と良く言っていたという事。
彼の近状報告については数時間前に動きがあった。
ヒサカイ自身から京都校に連絡が入り、東京に派遣されていながら今日から有給を使うと本人から申請があった。繁忙期に急すぎて上で許可を出す事を渋っていれば「すいません」という言葉を最後に向こうから切られたと……こいつはゲロ以下の臭いがプンプンするぜ!
それから東京の呪物倉庫がこじ開けられた形跡があった事とリベルタで押収した一部の物…、呪力バッテリーやワイヤーが紛失してるとの報告が京都にも共有されていたという事。