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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第28章 想定外


僕の"組"にやられたって質問に冥冥は「ああ」と肯定した。リベルタでの事もあるし資金源か、それともヤマガミ組への報復に彼女の術式を行使するのか。どちらにしろ、殺される為にってわけじゃないけど相手が相手。彼女にどんな事をされるか分からない。
ハルカだって元より静かなお姫様タイプじゃない、お転婆な女の子だから大人しくしてるとも限らないしね…、静かに待てが出来れば無傷だろうけど……彼女の無事を願うしかないよね。

スマホ越しの冥冥はきっと、カラス越しに見えているその状況を説明してくれる。うちの前から走り去った車は何時間も掛けて遠くへと移動したんじゃない。都を跨がず、近すぎる事もなく。数十分ほど車を走らせたくらいの、カワグチ組の傘下であるバーの敷地内に停められているらしい。

「……で、そのバーの場所はどの辺り?渋谷?銀座?それとも歌舞伎町?別の場所?」

お酒には詳しくないから、頭に浮かぶのはハルカと一緒に行った場所や、硝子達と行った場所。それ以外は銀座と歌舞伎町くらいしか思いつかない。
……とはいえ、僕が行った場所は反社関係なさそうだったけど。

"一度通話を切らせて貰うよ?君の誠意を先にいただかないとねえ……?"
「ああ、そう…ウン、分かった……」

誠意、ね。送金が先か。通話を切り、すぐに冥さんの口座に送金する。
……大切な彼女を早く見つけ出さなきゃ、そいつらが彼女に何をするか分からない。リベルタでさえあんなに残酷な仕打ちをしたんだ。今では魘される頻度は減ったけれど、人を生かし、殺す事を繰り返した心の傷はやっとカサブタくらいにはなっただろうに。

カワグチ組というヤクザ。薬物も扱ってるみたいだから、頑固な彼女はやつらの縛りにそう簡単には頷かない。なら薬漬けにされる事もある。薬でガチなラリッてるハルカなんて、僕は見たくないしさせたくない……。

攫われてしまった悔しさに拳を握りしめながらスマホの画面を見て、冥冥からの着信を待つ。
確認が終わったのか冥さんから折り返しの電話が来た。すぐにスマホを耳に当て、心配そうに僕の顔を見てる管理人に手を軽く上げ、管理人室から退出する。
マンションのエントランスで冥冥の言葉を待った。
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