第28章 想定外
「……確かに、これは住居から近いのでそう簡単に危険には晒されにくいですね……、けれども私も高専に属するもの、多少なりとも体術には自信がありますからせめてお買い物中の間、ハルカさんの護衛をさせていただきましょう!」
『それは助かります、けど任務とか大丈夫です?』
携帯を取り出したヒサカイ。少し操作して、手を下げる。片手に携帯は持ったままで。
「流石に忙しいといってもこちらへの調査は24時間ではないですからね、連絡に気をつけつつ、また戦えるとはいえ非戦闘員と言って良いハルカさんの護衛が優先となりますから数十分程度くらいは許されるでしょうし…」
『ありがとうございます。ほんとすいません……』
「いえ、これくらいさせてください。いつも治療の際にお世話になってますから…」
そう言われれば気も楽になるかも。
とにかくこうして誰かと居るだけでも良い、呪いなら私自身でなんとかするとして、呪詛師から狙われる確率が下がるはず。喜んで好意を受け取ってスーパーに向かってヒサカイと共に進んだ。
……で、だ。
入店してまっすぐあの石焼き芋機の元へと向かったのは良いけれど、目的のブツは残念な事に売り切れてた。並ぶのは玉砂利のみ、安納芋とシルクスイートの二種共跡形もなく、芋の残り香もなく……。
畜生めェ!と膝から崩れ落ちそうなのを耐え、ここは仕方ないからと生のさつまいもを数本買っておく。本当はさ、出来たてをすぐに食べたかったんだけど無いなら仕方ないもんね。自分でなんとかするしかない。
"焼き芋売り切れてた!"と悟にメッセージを送った後にすぐに簡単に出来る焼き芋の作り方を見て、炊飯器で作れると知ったから。物は試し、何事もトライだわ。
『……よし!』
ガサ、と袋に入った三本のさつまいも。帰ったら炊飯器を使った焼き芋を速攻作ってみよう。
わざわざ芋を買うのに付き合わせてしまったな、とヒサカイを見た。彼は連絡を気にしつつ周囲をキョロキョロと見ていた。仕事熱心だなあ。だからきっと親切にも通りすがりの人にスカーフ渡されたりするんだよ。
『付き合わせてしまってありがとうございました!』
「いえ……。しかし、さつまいもなんて芋天でも作るんですか?」