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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第27章 五条という家


262.

三が日も過ぎたある日の早朝。
夢の中からそっと起こされるような、布の擦れる音。時々ベッドが揺れ、なんだかぱたぱたと慌ただしい。

『……んっ、』

声や派手な音な無くともなにやら慌ただしい気配に、まだ眠い目を開けてそっと体を起こすと、いつもの服へ着替え途中の悟と目が合った。
目覚ましのアラームって鳴った?いいや鳴ってない、私の起床時間よりもずっと早い時間に部屋を出るんだ。年末年始は流石に特級呪術師は忙しいみたいでここ連日、私が起きた頃には彼は出掛けた後で。
マンションに居ると出掛けるに出掛けられないからね、悟が帰ってこなけりゃ私はずっと部屋に居るしか無い。高専でもないから気軽に誰かと一緒に出掛けるってのもここまで来てもらわないといけないし……悟が任務に出掛けると結構寂しいもんでさ。ほぼ夕方くらいまでひとりで過ごすのは退屈で、せめて朝くらいは悟と会話はしたかったんだけど。

今回はたまたま起きることが出来たからそれが叶った。いくら広くて快適っていったって、まだ高専の寮に居たほうが楽しいんだけど……。
私が起きたのに少し驚いた顔の悟はベッドに近付くと腰掛けて手を伸ばして。寒くて布団にくるまってた私の頭を優しい表情をして撫でる。

「ごめんね、起こしちゃった?ゆっくり寝ててよ」

昨日無理させちゃったし、と悟が言葉を追加してるけど任務と比べたら夜の営みなんて無理に入らないと思う。
ちょっと起きるか、と掛け布団を押し出す。日が昇るのも遅い肌寒い朝の為に暖房を着けたとはいえ、部屋はまだ暖まってない。ギ、と私が上半身を起こし、ベッドに座る悟にすぐにがしっと抱きついた。柔軟剤の香りがする服に顔を埋め、すりすりと顔をこする。抱きついてると暖かい。ははは、と悟は嬉しそうに笑って抱きしめ返してくれる、その手が温かい。

「もお~、朝から可愛い事しちゃって~……寂しんぼさんなんだから」
『はあー、さとる、あったけえ~…』
「……あのさ、僕…湯たんぽじゃないんですけど?」
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