第27章 五条という家
「ふーん?……気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだー!セックス!セックス!セックス!」
『ウワーッ』
うっわ最悪!浴室という音の響く空間でジャイアンばりに響く声量、ド下ネタが叫ばれた。彼の実家とはいえ、誰かしらに聞こえてるんじゃないの?
……大問題でしょ!?
片耳を塞ぎながらに悟の背をペチーン!といい音を立てて叩いた。
『やめろやっ!声が響く!そういう所の声量、なんとかしなっ!?』
「え~…?でもしたいんだもん、お風呂でえっちも良いけど流石にバレるし、早くお風呂済ませて布団行きたいじゃん?」
不服そうな顔でにゅっと飛び出た唇がなんかピヨピヨさえずってんなあ……。
さっきからちらちらと悟の視線が私の上半身や下腹部を見下ろしてるスカイブルー。目は口ほどにと良く言うよ、欲しがってるのが丸分かり。言葉以上に視線がお預けが出来なさそうですね…。
はあ、とため息が漏れた。
悟の背にそっと手を触れて、浴室内の椅子へと彼を少し押して誘導して。
「あれ、ハルカさん?」
恐る恐る座りながら見上げる悟。
『じゃ、さっさと済まそ?お風呂場で長居したらデメリットしかないし、我慢出来ないでしょ、悟』
一呼吸分の沈黙と、大きく頷く悟はとっても元気に「うんっ!」と返事をした。
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──
……で、普通に身体を洗ったり歯磨きなどを済ませ、いざ脱衣所に上がった所での問題が発生しました、と。
着付けは松竹梅トリオが。脱がせるのは悟がしたけれど、着物に慣れない私にとって始めから着付けをしていくのは無理がある。
静かに振り向けばさっきから口笛でなにやらルパン三世のテーマを吹いてる悟は慣れてるって事もありさくさくと着てるけどさ?私は洋服ばかりで和服着る機会がなかったわけでして。
ブラとパンツ状態で着物を持ち、どうしようかと考えてると、着替え終えた悟が私の前に自身の腰に手を当てながら立つ。
「そっか、慣れないんだったねえ……僕が着せてあげよっか?」
普通に下心のない一言ではあったけれど、私にはひとつ思い浮かんだ"いい方法"があった。
だから彼からの着付けを手伝う事については片手を出して制止し、首を振って断っとく。ちょーっとドヤ顔もしつつ。