第4章 乱心、暴走
「はーいおつかれちゃんちゃん。じゃあ次は覚えたての反転術式で容赦なく僕を狙って!それでも僕は最強だから怪我すらしないと思うけれどw」
『あっ語尾に草生やしやがった!』
きっかけは二日酔いだったけれど手の平を見て前に向ける。
手首辺りや手の平から伸びる縄。それは自由意志がこれにあるというよりも私の意思を反映している。
ええと…書物では糸だったり、縄のねじれを解したりと先代達は各々に自分達の後の世代へと遺していた。ならば、と縄の全てを解して数本ずつを撚り合わせて仕掛ける。
二本の縄は悟に向かいながら投網のように掛かっていく。
狙われた悟は焦るなんて事はなく、楽しそうに、興味深そうに逃げずにそこに立っていた。
「おっ、形状変えてきたねー、いいよ~どんどん好きにしてって!」
まあ…変わらずに無限に阻まれるんだけれど。
一度縄に戻し、考えてからそういう事ならともう一度解して細かい式髪を悟に向ける。そして意思が効くなら、と蜘蛛の糸の織りなす、蜘蛛の巣のような網となったものが悟へと被さる。
このまま被せて引っ張ったりすればどうなるのかは分からない。未知の行為。
「そう来ちゃう?このままじゃあ僕が動けなくなっちゃうから、切るねーこれ」
『あっ』
バヂィン、と爆発するように引きちぎれ、スパパ!と見えない斬撃が延ばしたモノを切り裂いていく。
「次は術式の開示を相手にしながらやってみてよ、何事も練習あるのみだからさ!長過ぎたら効果絶大でも隙きが出来るから注意。あとは短すぎずで言ってご覧?」
斬られた怒髪天で召喚したものは、切断された先が宙で煌めき、サラサラと消えていった。召喚、だからなのかもしれない。私に繋がったままの召喚した怒髪天の式髪はまだ存在している。
繋がっていれば意思が反映される、と。切られればそこから先は消える……うん、分かってきた。
『練習ね……、うん。
反転術式──"怒髪天"。今まで自身の式髪に吸い続けた白髪の分、先代の式髪として召喚する』
「うん、それくらいなら長すぎず短すぎずで分かりやすいね。じゃあ出して出して」