第27章 五条という家
「オマエだって龍太郎クンをフッたでしょ!」
『ああ、うんそうだけどさあ……、この女の子、悟の事多分好きだったんじゃあ…』
小さいながらも恋をする女の顔をしてる。きっとこの子は小さい頃から、フラれる時まで一途だったんだ。成長していく悟の横にたまに現れる女の子も少女へと成長し、彼の隣を独占していた。
「え?だってめんどくさいじゃん。向こうが好きでも僕が好きにならない。だって親に決められた相手ってのが不服だったし、フる時までオマエみたいな子を探す為にもひとりよりもたくさんの女の子と遊びたかったし?僕が好きにならない限りお互いに好きじゃないなら一緒に居てもね~?
……そのおかげでハルカと出逢えたんだから!」
『……ははっ…』
にこにこと悪びれもなく言い切る彼。
悟らしいちょっとおクズな発言ではある。確かに、誰かに決められた相手を私達はお互いにフッて、今こうして互いに気持ちを向けあえる夫婦になれた。
『……奇跡、だね』
「うん、僕らが出逢えたのは奇跡だよ」
ぱたん、と最後まで捲り終えて閉じたアルバム。
もう一度、と私は生まれたばかりの彼の写真のあるアルバムに再び手を伸ばし、静かに眺めていった。