第4章 乱心、暴走
人差し指を上にぴしっと出し、口元がいつものようににやけている悟。
「それが反転術式、"怒髪天"。
春日の人の手記によると、術者の意思も反映するし、太さを変えられる。武器に巻きつけていれば一時的に、巻きつけている間は武器を呪具に出来る…先祖たちの遺髪を召喚しているんだよ。
定期的にそれを使って式髪に溜めた呪い、呪力を開放する事。ほらほら、早速体術行くよー、硝子これ片付け頼むよん!」
その遺髪の縄を突き刺さった穴からぐいぐい引っ張って、そうだ呪力を呪術として使ってるならと消す。床に2つの穴が空いてしまった……。
医務室の出入り口付近の穴って、怪我人が躓いたら余計に悪化してしまう。
私が片付けなければ、という行動を阻害するのは私の手首を掴む大きな手。
『穴ァ…!あ、ちょ、ひっぱらな…っ』
怒髪天を引っ込めた私の手首を掴んで引っ張っていく悟。
なんとも言えない家入は"後でで良いから"と片手をひらひらと振っていた。