第4章 乱心、暴走
「………どうなってこうなってんの?」
困惑するのも仕方ない。
そして状況を説明せざる負えない。
『ふ、二日酔いを……』
「二日酔い?」
『二日酔いを、呪術で何とか出来ないかなって…実践していたら……』
「ぶっ、クッ…はっはっは!」
「笑うんなら後でしろ」
両手塞がってるからどうも出来ない。ムカつくなぁ、この人は。
ボト、と足元で物音がする。また何かの変化をもたらしたようで。
『「ん?」』
女ふたりの声が重なった。その3つの視線の先は物音のした床。
私から飛び出ている縄は意思を持って、先端に何か鋭利なモノが付いている……。装飾というよりかは熱などで溶けてくっついたような、いびつな塊。
「ハルカー、もしかして僕のことでイラッとした?」
『……っ、』
そりゃあ昨日の今日だもん、イラッてしないわけがなかったし。
その悟の言葉に二本の縄が飛びかかっていった。機敏な動きで迫る2本の縄はまっすぐ伸びて悟の無限に阻まれる。
悟の前で弾かれて下に突き刺さる縄。ズン、と音を出している。
『なに…これ、』
あまりのことに私は両手を頭に着くかどうか、の位置から手を下ろすと手の平……いや、手首や手の平などから数本ずつの束が生え、撚り合い、それがロープの様になっている。木の根が寄り合うみたいな……。
この太さでこの長さ、本来の縄であれば重いはず(材質にもよるけれど)が驚くほどは重くは無かった。