第26章 だから師走というんです
「天満大自在天神(てんまんだいじざいてんじん)っていうのはね、菅原道真の死後、神格化した呼び方だよ!」
悟は…てか五条家は菅原道真の子孫。
嘘か本当か見分けのつかない事をさらっと言うもんだからこっちも頬杖してじー…と確かめるように目の前のドヤ顔を見る。
息をするようにすらすらーって出てきてるし、九割嘘っぽいけど一割本当っぽいんだよなあ。
でも、まあ……
『……嘘かホントか別として。うさんくせっ!』
「え~?我、神ぞ?ヒトから神格化されし学問を司る神ぞ~?」
『あーうん、はいはい、引き出しネタ気になるからガキ使変えていい?』
「そこんところだよ?ハルカチャンの学校では教えてくれないそこんトコロだよ??」
ちょっとぶすくれてからの立ち直り。
一緒にテレビを見て、ちょっと夜ふかしするから張り切ってスナック菓子をパーティー開けして、気合い入れてる。
お菓子のお供には飲み物。ふたつあるグラスにはそれぞれにクリスマス過ぎで割引されてたポケモンのシャンペンが同じ様に注がれてある。
悟曰く、「何味だか分かんない、サイダーともなんとも言えない味が好きなんだよね~!」と気がつけば私の分も注がれていて今夜のオトモはノンアルですねえ…。
『おっ、そろそろスタンバイかな?』
もう少しで今年が終わり、来年に切り替わる。その私の言葉に悟は「ジャジャーン!」とシラフでご機嫌にもパーティーなどでよく使われる、紐を引っ張るタイプのクラッカーを手にとって笑っていた。
そのひとつをはい、と私に渡す彼。まあ、大晦日くらいは許される、か……?防音性も良さそうっちゃあ良さそうだし……。
『ん、クラッカーね。付き合うよ?』
「よーし!じゃあ、もうちょっとしたらカウントダウンしよ!」
『了解~』
テレビのデジタル時計の数字を見て、残り数秒の今年をカウントダウンしていく。クラッカーに固定する為に貼り付けられたシールから引っ張れるように紐をシールから剥がして。
……そして。