第26章 だから師走というんです
だって、いつかお腹に授かる時が来たとして女が生まれたらきっと私よりの血が継承されるから。それは私も分かってる、幼少期ならまだしも大きくなるにつれ生きづらくなる。
対処無しでは短命。なら、男、男と私の祖母や鎹とは正反対の攻め方を食らう可能性がある。
見上げた彼の面倒くさそうな表情理由が分からず、じっと悟を見ていると彼はフッ、と笑った。
「うちの親、多分うるさいよ~?でも、ハルカについて悪いことを言ってきたら僕に言ってね、ちゃんと僕から言っておくから」
『……うん』
「駄目だからね?暴力は。キミは口より先に手が出る時もあるからプッツンオラされたら僕がハルカを怒らないといけなくなるんだから」
『私は承太郎か~?人生格ゲーじゃないんですけど?まず悟でプッツンオラしてみるぅ?』
覗き込むようにすると悟は枕を拾い上げ、枕で私の顔を押す。視界の外で「それは止めて」と聴こえて覗き込むのを仕方なく止めて。
(枕は定位置に戻されましたとさ)
「……年始だけじゃない、学校は基本休みでもオマエは硝子の休みシフトに突っ込まれるのは変わらないし、忘年会もある……それからハルカの実家にも新年のご挨拶に行かないと。だから年末年始は忙しいね、体調に気をつけるんだよ?」
うん、と頷く私を見て悟は自身の膝をパン!と叩きベッドから立ち上がった。気合い入ってんなー…。バスローブがマントみたいになって、そのまま浴室に何歩か進んで振り向く。ひらりと空気で膨らんだバスローブ。一瞬見えたケツがちょっと滑稽です。
ローブが重力で下がりケツも隠れ。振り向いた悟はにこ、と笑って。
「本日の朝えっちは浴室での駅弁となっておりまーす」
『えっ、さんざんヤッたのに結局朝もヤるのかよっ!』
さっきまで沈黙してたモノがゆっくりと持ち上がってる。悟がうんっ!と頷けばお辞儀するように下半身もうんっ!と律儀に、とっても健やかなお辞儀をしていた。