第26章 だから師走というんです
彼を迎え入れようとして開いてた脚を閉じようとしたら、彼は慌てて腕を使って閉じかけの脚を開ける、エレベーターの締まりそうなドアみたいに。
閉じられなかったのでもう一度チッ、と舌打ちをすれば不服な表情を浮かべてブーブー文句を言う悟。
「閉じたら舐めたり挿れたり出来ないでしょー!?」
『私生えてないので。ホモは帰ってくれないか…?』
「……それ元ネタは反対の言い方だろ?」
ふう、と肩を落とした悟は両手で私の膝を広げ、私をあられもない姿へとさせていく。毎回とかしょっちゅうするものではないけれど、たまにするから少しの緊張。いつも同じとは限らない、マンネリの無い性行為。悟は意地悪そうな笑みを浮かべて私の下半身から視線を目に移す。
「じゃあ、僕をイカせてくれた奥さんにはゴホービにイクまで僕がお返しに気持ちよくさせるから。ちゃんと見ててね?」
ばちん、とウインクをして「お返事が欲しいんだけど?」と再び意地悪な表情をする。それって、私が寝そべるんじゃなく、体を起こしたまま見てろって事じゃん…。
ぶわっ、と恥ずかしくなりながらも既に今にも食らいつこうとしてる悟はもぞもぞと腹ばいになって私の両太ももを抱えていた。顔だけを上げて私の返しを待つ悟。見上げるその両目をしっかりと見てゆっくりと頷く。『分かった、見てるから…』って。
ふわふわの頭頂部が見える……顔を埋めたから。
吐息が掛かってぞくっ、とした時にはぬるりと這う舌。
『ひゃっ…ぁっ!』
ぴちゃ、ぴちゃ、と短く音を立て、彼の唇も下半身…陰部を這っていく。いけないことをさせているような背徳感の中で生まれる快楽。小刻みに動く彼の頭に言葉に出さずとももっとして欲しいって気持ちでゆっくりと撫でながら両手で抱えるように触れる。
舌じゃなくて何かそういう生き物みたいにぬるぬると動いて、時折ちゅうっ、と唇で吸う時に身体が跳ねるくらいに良くなってしまって身を捩った。脚先で踏ん張るようにつんのめれば、ぎゅう、と布の苦しそうな音がして、よそ見をすれば私自身で気持ちよさのあまりに頭がおかしくならないよう、耐える為か。両足の足先でベッドカバーを手繰り寄せていた。
緩急を付けるように吸ったり、離したり舌先でいじめる度に引き絞るようにぎゅうう…っ、と果てそうな感覚の波が迫ってきていて、でも私の意志ではそんな大きなものを止めきれなくて。