第26章 だから師走というんです
本日も自己肯定力マシマシで安定の彼に連れられたキッチン。
ご馳走のお供に私はワインを、悟はアップルタイザーを。このチキン、久しぶりだなーって感激してさ。デザートにケーキまで平らげた後に、お腹いっぱいな状態で一緒になってケーキを作って…。
クリームを散らしながら、時に味見をしながら。
たまに顔や手にクリームを相手にわざと塗りつけながら。嫌がらせ合戦もそこそこに、ケーキ作りは完成へと向かう。
一からじゃない分早めには作り終えたとは思うけれど、プロには負ける。個性が出てるショートケーキ(ホール)が完成した。
「出来たねー!」
『ん、写真撮ろう、そしてSNSに載せよ……、あーっ!携帯にまで誰かさんが飛ばしたクリーム着いてんですけどっ!』
少し離れた位置においた携帯の画面にぺとっ、と生クリームの付着物。キッ!と悟を見ると視線を反らす。口をすぼめてぴゅーとか口笛吹いてさ!
ハンドミキサーがあるから私はそれでやってたのに、悟ときたら「見て見て~!呪術師の僕ならこっちの方が電気要らずだよっ!」と呪術を使った。確かに空気を上手く含み、混ぜられていくけれど時々飛び散ったのはどうかと思うんだよね?最初の呪術の調整する前の時のっ!
「えー?じゃあ僕が責任持って舐めちゃう?」
『舐めんでいいわっ!もう拭いたし……、けどさ。完成したは良いけどお腹いっぱいの状態でこれまで食べたら太るよ、流石に。しかも年末年始じゃ忘年会、お正月にはおせち、餅三昧でウエイトマシマシじゃんね…、』
食べるっていうなら今日はちょっとだけにして明日にしよう、と携帯で写真を撮る。そのままアプリから早速画像を載せていると私の肩にずっしりとした腕を組んでくる悟。耳元で楽しげな声色で囁く。
「気にしないで食べたら?どうせ運動するんだからそんなカロリーあっという間に消費するよ!」
『いやいや、気にするんだよなー!その運動がハードだからさー!何?悟はビリーなわけ?夜のビリーズブートキャンプか?隊長か?』
「そうだよ(迫真)」
『いや否定して?』
まさか今日使われる事はないだろうとは思うけど玩具を使って私で遊ぶんじゃないだろうな…?と怪しみながら、今夜の軍曹を見上げるとサングラスを外してキメ顔をしてきた。
「Victory!」
『ノるなノるな。写真、悟にも送ったから』