第26章 だから師走というんです
「おっとネタバレしちゃった!見なかった事にしてー」
ぱたん、と閉じられる戸棚。いや、間違って開けたんじゃない絶対にわざと私に見せるために開けた!
さっき私が見たのは戸棚の中にショーケースのように陳列されてる、ぱっと見て十かそこらの数の大人の玩具が並んでた。
『さっきのは何っ!私それはプレゼントに含んで欲しくないんだけどっ!?』
「オプションだよオプション。夜のプレゼントのネタバレしちゃったねー、お風呂場で使う?ベッドで使う?そ・れ・と・も…今?」
使う事で決定されてるんですが?
ぶんぶんと拒否するように首を振る。
……絶対に気持ち良すぎて頭がおかしくなって気絶とかするヤツ!普段のえっちでも充分だっていうのに、以前玩具を使うなっ!って数度怒った事に懲りてない。むしろ今生き生きとしていた。
『どれもこれも、ぜーったいやだ!』
「……さっ!ご飯食べよ!」
『話を反らしやがった!』
「え、ご飯食べないの?」
『いや、ご飯食べるけどっ!』
ムキになって絶対に玩具は使って欲しくない私から思考を食事へと切り替えさせる悟。確かにお腹が空いてたってのもあってすぐに気分は切り替わるけどさあ…っ!
むす……とする私を引っ張る悟はニヤニヤしてた。
「ほらほら、お腹空いてるでしょ~?チキンとポテトとビスケットを温めてる間にコールスローサラダでも食べてようか、で、ご飯終わったらケーキを食べてその後に一緒に作ってまた食べよっ!」
『ん、食べる!食べるけどちょっと後で戸棚の中について話し合おうねー?』
にこにこしながら「なんの事だろー?」という悟。
明らかに使われる未来が見える、これは後日隠さないと…。処分したら怒られるだろうしこっそり隠す。これくらいしか私には出来ない…。
「さっ、ディナータイムだよ、夜は長いんだからお腹いっぱい食べようねー、お酒も買ってあるから飲みな~」
『おっ、気が利くじゃん。ワイン、あります?部屋に置いといたの……』
ぱっと見冷蔵庫に見えなかったけれどあるのかな?という所、悟は振り返り、片手でサムズアップをしてウインクまでする。
「ボージョレ・ヌーボーっしょ?」
『正解!そして優秀!』
「ふふん、だっろ?オマエの旦那さんは千年に一度の優秀な人材だからねー」
『毎年のボージョレ・ヌーボーの褒め言葉みたいな事言うねー?』