第4章 乱心、暴走
もしもし?と面倒くさそうに聞き返す音声。手に持ったままに僕は隣の部屋の壁を見た。
嘘だろ……?冗談だったらもっと楽しく笑えるモンにしてくれ。全く笑えないや。僕がハルカを好きだったなんて。
硝子の声ももう聴こえない携帯の画面を切りベッドに腰掛けた。
だったら色々と説明が付いた。あのむずむずしてそわそわとした感情が。とんでもない呪い、愛という呪いに掛かってしまった。解呪方法は分かりきってる。想い合うか、想いを断つか。
そっか、僕は好きだったんだ。ハルカ……──。
だから誰にも取られたくないし、触れたい。彼女がふと口を滑らせて"さん"を着けずともキスがしたい。それ以上の関係の、肉体同士の触れ合いだって……。
そんな事10時間程前に知りたかった、その僕がハルカを好きだって事。今じゃ後悔が残されてる。恋人という関係は彼女の涙と言葉で解消されている。
スライド式に改造した壁に触れて小さくため息を吐いた。
この僕の届かない想いをどうするべきか…。