第4章 乱心、暴走
「うそーん……やっぱり七海かー…」
「五条さん、居たんですね」
サングラスを掛け直す七海。ガチャ、と七海にぶつかりつつも出てきたのは薄着のハルカ。
……マジで?僕の想像の世界は本当だったってワケ?
『あ、七海さんか。立ち止まってどうしたんですかー?これ忘れ物…なんですけど、』
開けた玄関のドアから黒いタンクトップを着た、上半身の覗く隣のハルカ。
僕はハルカを指差した。これ、完全に合体後じゃあ……。
「は……?七海、オマエ……ハルカと…?あ…え?なんで…?」
「勘違いされてますが五条さん、私は彼女を部屋に送り届けただけですよ。ただそれだけです。では明日…」
脳裏に想像するはふたりの関係。
バタン、と音がしてそれはハルカが引っ込んだ音だと気がつくと僕はゆっくりと室内に戻った。
硝子が言っていた事は分かった。今更の話だろうとあまり気にしていなかったけど…表面上と言っていてのめり込んでたのは僕……ウケる。いや、ウケないか。
ハルカの側に居てひたすらに安心していたがその日々にあぐらをかいていたせいか"別れて"、と言われてずっと会えず、触れられない。
携帯を取り、硝子に急いで電話を掛けた。
"──もしもし何、五条"
「こんな時間までハルカと七海が外に出掛けてた。それでハルカの部屋に七海が入ってった。硝子、あのふたりデキてたの知ってた?」
"……はーあ?馬鹿なんじゃないの?勘違いも程々にしとけ。それはお前がハルカが好きすぎてそう見えただけ……………あ゙、"
「は?僕が?……ハルカを?」
通話先は黙り込む。
それはどういう事だと、隣の部屋に聴こえないように聞き返した。
「硝子、僕がそういう風に見えるって言いたいのか?」
"──面倒くさ。七海に取られたり、婚約者に取られてもなんとも思えなきゃ好きじゃなかっただろうに。あんたは嫉妬してるんだ、ハルカの許婚や七海に。
五条、あんたは好きだったんだよ、ハルカを"
「……───、」