第26章 だから師走というんです
「やだ☆
やっぱさー…クリスマスはチキンにケーキ。そしてパートナーが居たら……もちろん、するでしょ?」
この悟を見て流石にパンダも狗巻も呆れてる顔をしていた。これには茶化さず正論が飛んで来ますよね。
丁度良く吹いた冷たい風が秋に散った枯れ葉を連れて、足元でくるくると回って攫っていく。
「……いやそういうのは夜しろよ、今するのは早すぎるだろ。夜九時から夜中の二時三時くらいの時にでもよぉ……」
「ん?そりゃあ聖なる夜の性の六時間は、」
『おい……いい加減にしろよ?』
何、人前でぺらぺらと猥談を進めてんだ、とひとつ舌打ちを。ぴた、と悟の言葉が止んだからちょっとは反省してると思うけど。
よし、このまま悟を引き摺って車庫に行くわ、と後ろの悟にしがみつかれながら車庫方面へ重たい足を動かした。けれども踏ん張ってるのか中々進まないし…っ!
これ、にたにたしながら様子見てんな…?
「ハルカのヤツ急ぎなんじゃねえの?」
「しゃけ…」
「えー?そんなに急いじゃう?チキンもケーキも逃げないよ?」
逃げないよ?まあ文字通り確かにね。けれども引き取り時間ってのがあるでしょうにっ!今日は予約していても混んでるしさー!
『逃げずとも……引き取り時間ってのがあるんだよ!』
引き剥がせず、引き摺れないのなら。背負ってしまえ、ホトトギス。
……って事でちょっと酔った悟にやった時以来のおんぶ。丁度良い背後の悟の膝から持ち上げてサクサクと車庫へと私は進んだ。背後で「達者でなー」「しゃけー」という声を聞きながら片手でサムズアップを後ろの二名に見せる。
「ええー!?ちょっと僕をおんぶはないわー!」
『未成年の前で猥談の方が無いわっ!』
「この絵図とかなによ、僕カカシ先生?そしてキミはガイ先生?」
『……ケツに八門遁甲すんぞ??』
ちぇー、と文句を言いながら笑ってる悟を背負い私は放課後に入って数十分。ようやくおんぶをしたまま、悟と共に車庫へと辿り着けた。