第26章 だから師走というんです
「いーじゃん別に~、生徒以前にそういう関係なんだもんっ!そりゃあ僕だって特級呪術師でGTG以前に人だしハルカの旦那さんなんだもーん、浮かれる時もあるよ?
あ、恵もっかい昨日の写真見る?とっておきの別アングル!」
「いやいいです」
「遠慮しないで~!僕とハルカのチャペル内の写真、」
悟がデレデレと携帯を取り出して写真を見せようとしている時、丁度良くチャイムが放送で流れた。悟の言葉をかき消すスピーカーに彼はスピーカーを睨みつけてる。
『よし学校終わった、さっさと行こうそうしようそこのニヤケ顔、携帯しまってついでにその顔も引き締めなよ』
朝から昨日の写真を携帯を取り出す度にいろんな人に見せられてるこっちの身にもなって欲しい。普通にただ一度見せるならまだしも、私を殺すつもりか?という程に褒めてくる。本人の居ない所でやれー??…って思いながら我慢をしてたけれど、同じ人物に再びやるんなら全力で止めるわ。誰もがチベスナになる。この人が暴走したら結婚式の引き出物に使いみちに困る写真入りのお皿とか入れかねない。暴走を可能な限り私が止めなきゃ。
残念そうな顔した悟は渋々携帯をしまう。
「……顔はグッドルッキングガイだからこのままとして。スマホはしまうけど……じゃーん!こっちはしまわなーい!」
にっこにこな笑顔でじゃら、と摘むように鍵を見せつける悟はなにやら新しくキーホルダーが着いていた。なんだ…?とまじまじ見ればふたり白装束で並んだ全身写真の切り抜き。いわゆるアクリルキーホルダーというもの。
……えっ、昨日撮っていつそんなの作る時間あった?
『うっわ!いつの間に作りやがった!?』
それを持って教室を飛び出す悟。「出会う人皆に自慢しよー」と不穏な言葉を残して。
置いていかれた、というか私はこの後すぐに更衣室に持ってきてる私服に着替え、寮に戻らずすぐに出かけようとは思ってるけど…けど!
無駄に悟とのヘイトに私もプラスしてこんな忙しい時期の皆にストレスを与えてんじゃないよ……っ!と取り逃がしてしまった悔しさ。項垂れる私に誰かがやや強めにタンッ!と肩を叩いた。振り向けば野薔薇。
彼女は真顔だった。