第26章 だから師走というんです
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「──ま、明日から生徒の皆は休みになるんだけど。呪術師は万年人員不足、マジで生徒の手も借りないと!って時は召集掛かるから常に連絡は取れるようにしといてねっ!それから休み中にクリスマスだーだとか、ニューイヤーカウントダウンだーだとか、お正月だー!って浮かれすぎないように!」
休みに入るのでこれが今年最後になる帰りのホームルーム。教壇に居る人物を静かに私達は見守っていた……否、私以外の三人が冷ややかな視線を送ってる。
そんな中でスッ…と控えめに手を挙げたらしい伏黒。伏黒の視線の先には教卓に両手を着いて皆を見下ろす一年担任の悟。
彼は外行きの服にアイマスクを外してサングラスをしている。ホームルームが終わったらすぐにでも出掛けますと主張してる彼が手を挙げた伏黒を首を傾げながら「はーい!…どったの?めぐみん」と発言を促した。
「……その呼び方止めて下さい。
浮かれないように、と言ってますけど現時点で浮かれポンチなあなたにだけは俺たち、言われたくないんですが?」
うん、正論ですよね~…。
ちら、と悟がこっちを確認して伏黒の方向に視線を戻して。
「だってイヴだよ?生徒と教師の時間が終わったら…ンフフ…、行くでしょ?」
『その言い方どうにかならない?事案かな?って勘繰るわ』
イヴに生徒と教師の時間が終わったら何が起こるというんです?学長召喚のちに質問しても良いかしら、それ。
健全な言い方しろよ、と視線で訴える。私はともかく他三名は未成年。それを踏まえての発言をして欲しいんだけど?ホームルームを保健体育にすな。
若干ジト目で睨みつつ、教卓前の頬を膨らませた29歳児はすっかり教師モードが抜けきってる。