第26章 だから師走というんです
ひたひたと洗面所に向かう私を「ハルカ、」と呼んだので振り返ると、床に足を降ろしベッドから丁度立ち上がる悟がベッドメイクをするために乱れた布団を掴んでる。
「とっておきのクリスマスプレゼント、放課後に用意してるから。楽しみにしててよね?」
『……んっ!超期待しといてあげる』
ばちん!とウインクをしてる悟にサムズアップを返しとく。
私が彼に本当なら今日か明日に渡すものは既に渡してある。いや渡してるってかバレたのち外出時には絶対に着けられてるんですが…(そしていろんな人に喋りまくってる……次は猿ぐつわでも用意しようか…?)
「ククッ…、サプライズする側ってのもわくわくして楽しいねー?」
『でしょー?余計な詮索せずに受け身で私は待ってるからねー?』
「もー、根に持ってるぅ?ごめんって」
『ふふっ……、めんごめんご。でも楽しみに待ってるからね?じゃ、私、先に洗面所使ってるから』
ベッドを整えながらふわっ、と笑った彼を見て、幸せそうなその悟から移った微笑み。
さっ、寝癖酷いだろうから直そう。私は悟のような髪質じゃないから、寝癖は付く。縛るまでの部分ならまだ良いけど、前髪とか毛先が跳ねてたら情けないもんね。
止めた足、つま先立ちで私は朝の支度をしようと洗面所へと急ぐ。背後の楽しそうな鼻声はいつも以上に跳ねているように感じた。