第26章 だから師走というんです
『ん、せっかくだしちょっとだけ見てく』
この時期の為に街中が夜でもきらびやかになるんだ。多分、人が集まる分呪いもいるけれど、それでもこの人とクリスマスを堪能したい!
一緒に居て幸せな相手と過ごせるのだから緩む私の表情に悟も感染したみたいにゆるゆると表情が柔らかい。うんうんと頷き私の頬に触れた悟はする…、と頬を撫でた。
「うん!今年のクリスマスは格別だねー…、ハルカが学校に居る間呪いは僕がぜーんぶ祓ってきちゃうから。残業せずに学校に戻ってきてオマエを迎えに来るからね~?」
今日は多分、生徒以外は忙しく飛び回るんだろうね。クリスマスイブだから余計に。だったら特に夜こそ真価を発揮するイヴ。夜の方が呪術師が忙しく活躍する時間なんじゃあ……と思って悟の顔を見る。衣擦れの音と悟の喉元が私の視界に近付いて額に柔らかい感触と小さなリップ音。離れていってふっ…と優しく笑ってる。
……多分、悟が私に割く時間の為に昼だけ任務をするっていうのなら、その分夜は誰かが担当してる。イブの夜に働く呪術師が少しばかり可哀想だと思うけれど。文句を言うにも今年のイベントを逃しまくってる私だって彼とせめてクリスマスイブは…!って気持ちがある。この人を独り占めする時間が欲しいって私だって欲張りたいもん、他の人の事も考えろ、だとかふわふわとした笑顔をした彼に文句は言えなかった。
『ん、……ありがと。待ってるからしっかり任務をこなして来なよ?』
「うん!愛する奥さんが待ってるから僕もお仕事頑張っちゃうよ?だからさ……ほら、マジでそろそろ起きようぜ?」
ばさ、と片手が掛け布団を押しのける。私と悟の上半身が部屋の空気に晒されて、寝間着を着てるとは言えひんやりとした空気を感じて。暖房のタイマーが入っていても、部屋全体はまだ温まってないし、ベッドから降りる前に寒いや!と上下ライトグレーのスウェットの悟にがしっ!としがみつく。筋肉が付いている分、代謝があるせいかぽかぽかした彼はこうしてるとあったかい(夏は暑いから逆に逃げたいのに向こうから張り付いてくるけれど)