第26章 だから師走というんです
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夜の行為を一晩我慢させたらどうなるか。しかもその翌日にお互いの晴れ姿を目撃したならば。反動か、昼間のお互いの最高の姿を思い出しての興奮か。
イヴの為の買い物をある程度済ませて寮へ帰ってからがまあ早かった。お風呂を洗いに行く悟に夕飯の準備を始める私。察してた、これは今日凄い事になるな…と。
……で。早めのベッドイン。
昂ぶるままに始まって目の前の相手の事しか考えられない程に、汗だくになって、疲れて。最後にはシャワーを浴びて、次にベッドに入る時は穏やかに眠りにつく。
私は非常に満足出来たのだけれど、彼も満足出来たのかな。「ほら、ハルカ専用の悟君ピローだよ」と腕を伸ばしてその腕に来い、と呼ばれて枕にさせてもらった、悟の腕枕。数分の冗談混じりで笑えるピロートークを挟んで今はすぅ、すぅ、と定期的な呼吸をする悟を顔を見れば瞼を伏せている。
……色々と不安な部分はあるけれど。今日、実感したのは互いの晴れ姿で写真を撮った時。確かに顔が整ってるってのは知ってた。長身でスタイルも良く、良い肉付きをしてるって事も。この人は本気を出したら、日々を共に過ごす中でも言葉を無くすくらい、恋をし直すくらいにときめくような格好良さを見せつけられた。
そんな格好良い見た目で、残念な所や強さを詰め込まれた一人の人間。私はこの人と生きていくんだ、という事。
私は悟と居て楽しいって思うし、傍にいて幸せだって感じる。起きた時に重たい瞼を開けておはようって言い合う事も、一緒にご飯を作ったり、時々何かの罰ゲームで作らせたりして一緒に食べて美味しいね、と言ったり。目を離した隙に餃子に辛子を詰め込まれたり、闇鍋をしたがるのはなんとかして欲しいけれど。
今は教師と生徒で日中は教える者と学ぶ者の立場、日が落ちれば稽古をしたり、買い物に街に出たり。
また寮へ帰って食事をして、掃除をしたり洗濯をしたり。どちらかに負担が掛かることもなく、そうしてのんびりして、お風呂に入って、えっちをしておやすみ、と眠りにつく。
……じっと、彼の安らかに夢を見てるんだろう顔を見て頬を緩ませる。
うん、私は今、すっごく幸せだ。幸せものだ。悟は世界一の幸せ者だって言ってたけれどごめんね?私も今、世界一の幸せ者なんだわ。とてもじゃないけど、幸せな二番目になんてなれないよ?